なーるほど!かゆいところに手が届く 栽品目別上手な花の育て方(自宅での栽培事例)
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3 鉢花
アメリカンブルー
エキザカム
クリスマスローズ
ゼラニウム
プリムラマラコイデス
マーガレット
(写真1)
茎がつる状に伸び,吊り鉢にも向いています。暑い時期には,青い花がさわやかです(写真1)。午後は花がしぼみ,3時頃以降については,花は期待できません。5月に開花苗を購入します。自宅では,11月中旬くらいまでは咲いています。
夏の暑さ,土壌の乾燥には強いほうです。寒さには弱いですが,霜にあてないようにすると,日当たりの良い軒下などで越冬できます。
花をたくさん咲かせるためのポイントは,摘心や切り戻しで枝数を増やすことです。大型の鉢で育てると,豪華になります。挿し芽は簡単で,水につけておくだけで発根します。病害虫は特にありません。
(写真2)
サトイモ科。原産地は熱帯アメリカです。開花期が4〜10月頃までと長く,室内で栽培しやすい品目であると思います。日照,肥料,温度,水などの条件がよければ,葉が1枚出てきたら,2〜3週間内に花茎が見えてきて花が咲きます。花色は赤,ピンク,白などがあります。 色の着いた部分は,花ではなく苞(ほうと読む。ガクが変化したもの)です。苞が緑色に変化してきたら,花茎の基部から切り捨てます。1つの花茎の観賞期間は長く,1年近く変色しない場合もあります。写真2は, 2014年11月13日にフラワーパークかごしまで撮影したものです。
最低温度は10度以上が望ましいとの考え方が一般的ですが,6〜8度になっても,自宅では問題がありませんでした。一時的に温度が10度を下回っても,その時間が長くなければ問題がないことはあります。
直射日光は嫌います。レースのカーテン越し程度の光が好ましいです。自宅では,朝日が擦りガラス越しに当たる東側の玄関に置いていますが,花もよく咲きます。日照不足,肥料不足では花は咲きにくくなります。
用土は,鹿沼土の中〜大粒を使用すると,水やりのタイミングがとてもわかりやすく,土壌の過乾燥や過湿で枯らすことがなくなります。鹿沼土を用土にすれば,受け皿に水を一時的に溜めても問題はありません。受け皿の水がなくなり,鉢表面の鹿沼土がやや白っぽくなってきたら水やりをします。水やりはこの繰り返しです。
肥料は4月〜9月まで,IB化成(緩効性化成肥料)を2か月に1回施します。低温期は施しません。水や肥料のやり方の詳細は,第4章おしゃれなカップで楽しむミニ観葉栽培を参照して下さい。
生息地の環境を考えると,葉水をした方が望ましいと思いますが,しなくても生育不良になることはありませんでした。葉が汚れて気になる場合には,濡れティッシュで拭き取ります。病害虫は,特にありません。
(写真3)
リンドウ科。原産地はイエメンです。園芸店では,種子の販売はされていませんので,鉢を購入します。花弁が5枚の小さな花が,ほのかな香りを漂わせてたくさん咲きます。花色は,青紫(写真3),ピンク,白です。八重咲きもあります。
寒さには強くありませんが,戸外でも霜が当たらない場所であれば越冬できます。
自家採種でき,こぼれダネでも増えます。4月下旬に自家採種のたねをまくと,20日程度で発芽します。発芽適温が25度程度と高いので,早まきすると発芽は遅れます。初期生育が遅く,発芽1か月後も苗がとても小さく,7月極上旬にようやく植え付けることができます。8月上旬に花が咲き始めますが,まだ株は小さな状態です。霜が降りる頃まで咲き続けます。
挿し芽は容易で,2週間程度で発根します。こぼれダネから育った苗を鉢上げして,冬越しさせることができます。生育適温は,20〜25度で,真夏は涼しい日陰で栽培します。明るい日陰でも,よく花は咲きます。高温多湿に弱いので,鉢で育てるのが無難です。 冬越しした株は,4月には蕾が見え,5月には咲き始めます。大株にすると見応えがあります。
雨が当たりにくい軒下で,こぼれダネから育った株に,乾燥が続くと,ダニが発生することがありました。
(写真4)
キク科。南アフリカ原産です。花径は7a程度で,一重,八重(丁子咲き)があります。花色はバラエティに富み,白,うす紫,ピンク,黄,赤,オレンジ,中心部と外側の色が異なる複色(2色咲き:バイカラー)があります(写真4〜6)。
高温多湿には弱く,午後からは夏の強い光線が当たらない場所に植えます。霜が当たらない場所では冬越できます。
(写真5) (写真6)
春は3〜5月まで咲き続けます。蕾がたくさんあり,花が次から次に咲くので,花がら摘みは欠かさずに行います。株間は30〜40aとします。
花が終わったら,梅雨前に地ぎわから20a程度の高さに切り戻しをして,高温時期を乗り切ります。切り戻しをしないと,草姿が乱れ,蒸れで葉や株が枯れてしまうことがあります。秋になると生育が回復し,10月中下旬頃から霜が降りる頃まで開花します。開花終了後,切り戻し,鉢上げをして,霜が直接当たらない日当たりのよい場所で越冬させます。挿し芽は容易です。
生育が順調になる前の3月下旬と10月上旬に肥料を施します。高温時期は,肥料は施しません。病害虫被害は特にありません。
(写真7)
キンポウゲ科ヘレボレス属の常緑の多年草です。原産地は西アジア,ヨーロッパです。寒さには強く,軽い霜程度なら大丈夫です。高温多湿は嫌います。20種程ある中で,ヨーロッパではクリスマスの頃から咲き始めるニゲル種だけにその名がつけられていますが,日本ではヘレボレス属全てをクリスマスローズと呼んでいます。暖地では露地で2〜3月,遅いものは4〜5頃に咲きます。花径は4〜6a,花色はピンク,白(写真7),緑,黄,紫〜黒で,一重と,半八重,八重があります。
地ぎわから直接葉や花茎が出る無茎種と,茎が長く伸びて葉や花がつく有茎種に大別されます。
(写真8)
明るい日陰が適していますが,夏の強い日差しが午後からは当たらない場所であれば問題ありません。排水のよい場所に植えます。
梅雨から10月頃までの高温時期は成長を休止します。11月頃になると,新しい葉がでてきますが,古い葉を取り除くと,株内部に光が入り,新葉や花茎の生育がよくなります。花茎が上がりやすくなり,見た目もとてもよくなります。密植状態になって葉が込み入っている場合には,特に注意が必要です。
肥料は10月中旬頃に施し,葉や花の生育を促します。花が終わり次第,花がらや花茎を切
り取ります。同時にお礼肥えを施します。
(写真9) (写真10)
鉢替えや株分け,植え付けは,開花終了後か生育が始まる前の10月頃に行います。株分けは3芽くらいにします。芽の数が少なくなると,その後生育が遅れます。なお開花終了後株分けして植え替えした鉢は,鉢ごと地面に埋め込んでおく(写真8)と,根が地中に伸びるのでかん水管理がとても楽になります。開花直前に鉢を掘り上げ(写真9),大きな鉢に移植します。写真9の鉢は,根がかなり伸びていたので,鉢をそのまま移しました(写真10)。
病害虫の被害は特にありません。
(写真11) (写真12)
サクラソウ科。原産地は,地中海沿岸。冬の代表的な鉢花のシクラメンは,赤,白,ピンクなど鮮やかな色彩(写真11)で室内を彩ってくれます。上手に管理すれば春遅くまで咲き続けてくれます。近年は,露地でも霜が降りない場所では,ミニタイプのガーデニングシクラメン(写真12:フラワーパークかごしま屋内庭園にて2015年3月24日に撮影)が栽培されるようになってきました。ただし,温度が低いと開花数は少なくなってきます。
ガラス越しに日光がよくさす窓辺に置くと良いでしょう。温度については,昼間は15〜18℃(最高温度25℃),夜間は7〜8℃(最低温度5℃)ぐらいのところが花が長持ちします。最近の住宅は気密性が良くなり,あまりにも暖かい部屋に置いておくと長く開花させることが難しくなります。また,暖かい日の日中はできるだけ戸外で日光に当ててやります。ただし,寒風や乾いた風に当てると,せっかく成長した花芽が開かなくなるので注意します。
底面給水鉢の場合は,鉢底の受け皿に水を切らさないようにしましょう。普通鉢の場合は,鉢土の表面が乾いたら,たっぷりと水をあたえましょう。上からかける場合は,葉や花,球根に水がかかると病気発生の原因になるので鉢の縁からかけます。また,月に1〜2回,液体肥料を説明書に従って,水の代わりに受け皿に施すと,花の数やボリュームが長く保てます。
枯れた葉や咲き終わった花がらは病気,特に灰色カビ病の発生の原因になるので早めに取り除きます。ハサミを使わずに手でねじりながら引き抜くと,傷口が小さく簡単に取れます。
(写真13)
購入当初は草姿が良かった株もだんだん形がくずれてきます。蕾が脇から出てきたり,新葉が太陽のほうを向いたりします。新しく出た葉を随時,葉を株の中心から放射状に引っ張って下げる葉組みを行います。花や蕾を中心に寄せて,株の中心の芽に光が入るようにすると姿も良くなり花立ちも良くなります(写真13:葉組をした株。フラワーパークかごしまにて2013年12月23日に撮影)。また,毎日鉢を少しずつ回して,日光の当たる部分を変えてやりましょう。
冬の室内を彩ったシクラメンも,4月になると,花数,葉数ともに減り,葉柄(葉の茎)が伸びてしまったり,葉が黄ばんできたり,枯れてくる株もあります。ガーデニングシクラメンは夏越しがしやすいと言えます。
葉が元気な株は,上手に夏越しできれば,次の冬も咲かせることができます。夏越しが可能かどうかの目安は球根を押さえてみて硬かったら可能です。柔かったり,葉が枯れ始め新しい葉が無かったりする場合は,球根が腐れかけているので夏越しは無理です。
夏越しの方法には,葉をすべて枯らし球根だけにする休眠法と,生育させながら夏を越す非休眠法があります。これまでの経験から,非休眠法の方が夏越ししやすいと思います。
4〜5月に花が咲かなくなり,葉も次第に減って10枚ぐらいになったとき水やりをやめ,鉢土ごと乾かして自然に葉を枯らし,そのまま日光の当たらない風通しのよい涼しい場所で夏越しさせます。9月中旬に乾いた土を落とし,枯れている古根は球根の下2〜3pのところで切って,新しい鉢と用土に植えます。開花期は1月から2月と遅くなります。球根が消耗,腐敗してしまうことが多いようです。
5月になっても葉が元気に育っている株で行えます。明るい日陰の涼しい場所で葉を茂らした状態で夏越しさせます。
花が終わりかける5月に一回り大きい鉢に植え替えて,日焼けとホコリダニに注意しながら管理します。6月以降は半日陰で管理し,梅雨期は灰色カビ病が発生しないよう雨の影響がない所で育てます。梅雨が明けると,できるだけ涼しい所で管理し,9月上中旬にさらに一回り大きな鉢に植え替えます。肥料は,2000倍程度の液肥を2〜3週間に一回程施します。
第2章で説明したように鹿沼土を鉢土表面に敷いて,水やりを適正にやれば球根腐敗が少なくなります。
(写真14)
花々があちこちに甘い香りを漂わせながら咲き乱れる春になると,「花づくりを始めよう」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。初めて取り組まれる方に,あるいは花作りが苦手,庭がないという方にお勧めなのがゼラニウムです。原産地は南アフリカ。フウロソウ科のペラルゴニウム属です。 鉢花を購入する際には,茎が細くひょろひょろと伸びているもの,下葉が黄ばんでいたり,枯れ上がっていたりするもの,株がぐらつくものは避けます。
がっしりとしまった生育をして,株の張りがよく,蕾の数が多いものを選びます。大鉢栽培にすると,花数が増え,豪華になります。二〜三年は,植え替えなしで栽培可能です(写真14)。
強い霜や過湿による根腐れに弱いので,鉢やプランター栽培が適しています。馬子にも衣裳で,元の鉢苗が安くても,大鉢仕立てをすると,花が一段と豪華に見えます。庭植えをするのであれば,日当りや排水がよく,雨や霜の当たらない軒下がよいでしょう。
花色は豊富で,葉色も斑入り種があり変化に富んでいます。温度が10度以上あれば,周年花が咲きます。暖地では,霜に当てなければ冬も花が楽しめます。
水のやり過ぎによる過湿は禁物です。乾燥には強いほうですが,極端に土を乾かさないようにします。土の表面が白く乾き始めたら水やりします。肥料は,5号鉢で大豆大の緩効性肥料を鉢のふちに5〜6粒置きます。下葉が黄色くなり始めたら,追肥します。
7月下旬から9月上旬の高温期は花数が少なくなったり,葉が一部白くなったりすることがあります。この時期は明るい日陰に鉢を移し,特に適正な水やりに努めます。花がらは摘み取り,枝が込み入ってきたら細い枝は取り除きます。
さし芽は4〜6月が適期です。茎の先端部を10a前後切り取り,葉を3〜4枚残して鹿沼土などにさします。約1月で鉢上げできます。品種改良が進み,種子から育てられる品種も増え,4月にまけば7月には花が楽しめます。
梅雨時期にナメクジやカタツムリ,ヨトウムシによる食害や,花に灰色カビ病が発生することがあります。
(写真15)
細い枝の先に青(写真15),赤,オレンジ,ピンクなどの小さな花をちりばめて咲く初恋草(レシュノルティア。読み方によってはレケナルティア)。その名前と可憐さから,つい思わず買ってしまいたくなるような,近年人気のある鉢花です。初恋はほろ苦かったかもしれませんが,懐かしい思い出に浸りながらこの花を育ててみませんか。きっと心の和むひと時が過ごせると思います。
オーストラリア原産。クサトベラ科の常緑低木。品種によって若干異なると思われますが,10月から4月まで長期にわたって花が楽しめます。土壌の乾燥には比較的強いほうですが,多湿に弱いので水やりは過湿にならないように気をつけます。高温や低温もきらいます。
冬は日当りがよく,直接霜が当らない場所に置きます。明るい窓辺に置けば,室内で育ててもかまいません。ただし,秋になり日長が次第に短くなると,花芽ができ開花する性質があります。夜間長く照明をつけている場所に置くと,花数が少なくなる恐れがあるので注意します。夏は風通しのよい明るい日陰で育てます。長雨にはあてないようにしましょう。
購入した鉢花をいつまでも鉢替えしないでおくと,根詰まりを起こします。その結果,下葉が枯れたり,花数が少なくなったりするなど生育が悪くなり,開花期間も短くなります。生育するにつれて,ひとまわり大きな鉢に植え替えていくと,花数も増え豪華になります。株が鉢に見合う程度まで大きくなったら,根詰まりする前に鉢替えしましょう。鉢替えと同時に追肥をします。鉢替えすると,11月に購入した5号鉢も3月末には10号鉢程度の大きさにまで育ちます。
7月下旬頃から株に勢いがなくなり,8月の中旬になると枯れてしまいます。日陰に移して,過湿にならないように心がけても,暖地では夏越しは難しいようです。そこで花が終わり次第,3分の1程度の高さまで切り戻し,植え替えてみましょう。暑くなるまでに,新しい根と葉を出させて植物体を元気にすれば夏越しできるかもしれません。生産者は暑くなる前に挿し芽で株を若返らせ,夏越しをしているようです。病害虫の被害は特にありません。
(写真16)
寒さが苦手な方は,暖かな春が待ち遠しくてたまらないと思います。そんなあなたにお勧めなのがプリムラマラコイデス。鮮やかなピンクの小さな花をあふれんばかりにちりばめて華やかに咲きます(写真16)。
この花が一鉢でもあると,そこはパッと明るくなり,心がほのぼのと温まるような晴れやかな気分になれます。この花を育てて,春を感じてみませんか。開花株は3月末くらいまで長く花を楽しめます。
サクラソウ科。中国原産。花色は,濃淡ピンク,白の三色です。プリムラの仲間では比較的寒さに強く,軽く霜が降りる程度であれば露地でも育てられます。
苗や鉢花を購入する際には,病気があるもの,下葉の枯れが多く,葉色が薄くなっているものは避けます。葉が生き生きとして花芽が多く,株がよく張ってぐらつかないものを選びます。苗については,できるだけ大きなものを購入するとよいでしょう。
発芽適温は15〜20度です。低温にあう前に株が大きくなるよう,種は6月にまきます。同
じ仲間のオブコニカと異なり,13度ぐらいの温度になると,株が小さくても花芽分化し花が咲いてしまいます。
高多湿に弱いので,苗は風通しのよい明るい日陰で育てます。沿岸暖地の露地栽培では,3月上旬から4月下旬頃まで開花します。上手に育てればこぼれ種からの苗で毎年花が楽しめます。
水やりはできるだけ天気のよい午前中に行います。プリムラの仲間では灰色カビ病には強いほうですが,花や葉に水がかからないようにします。
肥料は,10日に一度ぐらいの間隔で薄い濃度の液肥を施します。肥料をやり過ぎると,花茎が伸び過ぎて倒れやすくなるので注意します。花が咲き終わった花茎は基部から取り除きます。
(写真17) (写真18)
トウダイグサ科。原産地はメキシコ。赤(写真17)やピンク,白,淡い黄色に色づいた葉(苞葉)を楽しみます。赤が主流ですが,近年はプリンセチア(写真18)と呼ばれるピンクや,複色の品種も人気があります。花は茎の先端部で黄色く色づきますが,花びらはなく,小さく目立ちません。
(写真19)
クリスマスを迎える時期になると,ポインセチア
が園芸店の店頭をにぎやかに飾ります。特に赤い葉
は,サンタクロースの赤い帽子や服を思い起こさせ
るので,クリスマスムードを盛り上げます。ポイン
セチアの周りを他の鉢花で囲むとさらに盛り上がり
ます(写真19:2015年1月20日にフラワーパークか
ごしまにて撮影)。
苗や鉢花を購入する際には,病気があるもの,下
葉の枯れが多く,葉色が薄くなっているものは避け
ます。葉が生き生きとして花芽が多く,株がよく張
ってぐらつかないものを選びます。
苗については,できるだけ大きなものを購入するとよいでしょう。原産地や沖縄のように
暖かい地域では,常緑の低木ですが,霜が降りるところでは室内で越冬させます。
ポインセチアの栽培で最も難しいのは,水やりです。また,ポインセチアほど,水やりが難しい品目はないと思います。ポインセチアの葉を枯らさずに育てられる人は,園芸のプロフェッショナルと呼んでも過言ではありません。というのも,園芸で最も難しいのは水やりだからです。水をやり過ぎると,葉枯れが生じます。通常よりやや,いやかなりといってよいぐらい乾き気味に育てるのかポイントです。見た目だけでなく,指先で鉢土の表面を触って見て,湿り気が感じられなくなったら水やりをします。
水やりのタイミングがどうしてもわからない場合には,吸水皿付きの鉢を購入するとよいでしょう。ただし,吸水皿付きであっても,絶えず水をたくさん入れていると,葉枯れが生じやすくなります。皿の水がほとんどなくなってから,水を足します。
なお,受け皿付き鉢であっても,葉が下からでなく,生長点付近の小さな葉が枯れる場合があります。はっきりした原因はわかりませんが,恐らく購入前に十分光を浴びていた状況から,購入後急に温度や光が不足する状況下で育てると,光合成量が不足して,上位葉が生長するための養分できなくなり枯れてしまうのではないかと考えます。過湿による根傷みも影響しているかもしれません。
このように水やりが難しいポインセチアですが,第2章ここがポイント!上手な育て方のマル秘テクニックに,新しい技術として失敗しない水やりの方法を紹介しましたので参照下さい。
冬の室内を彩ったポインセチアは,4月になると,次年度のスタートの時期となります。冬場の管理の方法で株の状態はそれぞれ異なると思います。購入時の葉色を保ったままで元気な鉢や葉がすべて落ち,枝のみになっている鉢などがあると思います。枝しか残ってない株も枝が緑色をしていれば大丈夫です。
5月になると温度も上昇してポインセチアの生育適温(18〜28度)になってきます。節から新芽が,土の中では白い根が伸び始めています。新しい根が十分に鉢の中に回っていたら一回り大きな鉢に植え替えます。用土は排水がよいものを使用します。
植え替えと同時に新しい枝をたくさん出させるために剪定を行います。節々に新芽が見えてきていますので3〜4節を残し強く剪定します。その後は7月までは枝を伸ばし,葉を多くつけ,株に力をつける時期となります。7月中旬には,開花期に整った株にするための間引き剪定(太い枝を残して間引きする)と切り戻し剪定(残した太い枝を葉3〜5残して切り戻す)を行います。剪定した株は一回り大きい鉢に植え替えます。
その後,新芽が5p程度になったら新芽の先を摘み取ります。2週間程度たつと,わき芽がたくさん出ますので,着色させる枝以外はかき取ります(5号鉢で4〜5本)。そのままわき芽を多く残すと草姿が乱れます。
ポインセチアは短日植物です。日長が12時間以下になると,花芽が分化し葉が色づきます。年末に色づかせるためには,9月下旬から,夕方5時から朝8時まで株に段ボール箱等をかぶせ完全に遮光する必要があります。色づくのに60日ぐらいかかります。短日処理は毎日行わなければ色づきません。
露地で自然に色づかせる時には,近くに外灯などの明かりの影響を受けない場所に置きます。ただし,かなり暖かい地域でないと寒さで葉が傷んできます。
鉢土が乾いたら,鉢底から流れるまで与えます。水やり三回のうち一回は千倍程度に薄めた液体肥料を水の替わりに施します。
生産の段階で,ハウス内ではオンシツコナジラミが発生しやすいですが,出荷されたものについては,家庭内では病害虫の被害は特にありません。
(写真20) (写真21)
キク科。原産地はカナリア諸島。清楚な白の一重咲きが一般的ですが,黄やピンク,赤,八重咲き(写真20,自宅)もあります。11〜12月に開花株を購入して育てます。大鉢(直径33a,高さ37a)に植えると,豪華です。半耐寒性の多年草で,霜が降りないよく日が当たる軒先なら,開花しながら冬越しできます。春先に霜が降りなくなったら,庭植えすると大株(草丈が60〜80a程度に育つ場合もある)で楽しむことができます(写真21:フラワーパークかごしまにて2013年5月16日撮影)。観賞期間は自宅の庭では,5月下旬頃までです。
大鉢栽培で,伸びて草姿が悪くなった株を5月上旬に15a程度の高さで切り戻すと,ほぼ1か月後には咲き始め,20日程度は楽しめます。気温が低い地域では,その後もしばらく花が楽しめます。
花がらは見苦しいので,また次々と花を咲かせるために摘み取ります。夏場の高温や乾燥は嫌います。開花終了後に15〜20a程度の高さに切り戻します。この時に,切り取った枝から挿し芽をし,株を更新して若返りを図り,夏場の高温・乾燥を乗り切ります。夏場の気温が冷涼であるなどのために,株が衰弱しない場合は,9月頃に切り戻し,挿し芽をして株を更新するとよいでしょう。
挿し芽は,葉を3〜4枚,穂の長さを5〜8a程度に調整して行います。挿し芽後,2週間程度で鉢上げできます。鉢上げ後,新芽が伸びてきたら摘心します。
病気は特にありませんが,8月中旬〜9月上旬にカイガラムシが発生することがあります。見つけ次第,ハブラシで掻き落とします。ハモグリバエが発生し始めたら,粒剤を施用します。赤系の品種(マックスマムレッド)の中には,スリップスの被害を受け,花がかすり状に白く色が抜けるものもあります。発蕾時から粒剤を施用しておきます。また,品種によっては,花弁がナメクジの被害を受けることがあります。