(春から秋にかけて咲く花)
左側写真の花壇は,右側写真上部の花壇と同じ
なーるほど!かゆいところに手が届く 栽品目別上手な花の育て方(自宅での栽培事例)
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1 春から秋にかけて咲く花
アゲラタム(カッコウアザミ)
ガザニア
キャットテール
コリウス
白妙ギク(ダスティーミラー)
ニチニチソウ(日日草,ビンカ)
ヒマワリ
ベゴニア・センパフローレンス
ペンタス
ホウセンカ
メランポジューム
ルドベギア
(写真1)
キク科。メキシコやペルーが原産地。草丈は20cm前後の矮性種,切り花に向く40cm以上伸びる種類があります。発芽適温は25℃前後です。矮性種を4月8日に種を播くと,7日後に発芽を始めます。発芽率はよいですが,初期生育はあまり良くありません。6月下旬頃から11月まで,青紫色の花径7〜8mm前後の小さな花が長く咲き続けます(写真1:10号鉢で栽培)。白色もあります。
切り花を目的としないのであれば,花壇やプランターには,咲いた後の花がらが目立たない矮性種を植えた方が無難です。株間は,25a程度とします。
土壌の乾燥には強い方ですが,土壌水分が少ないと真夏は花着きが悪くなります。肥料が多すぎると,葉が茂り過ぎて花着きが悪くなるので注意します。やせ地以外は,基肥はやらずに,葉色が薄くなり始めたら追肥をします。
挿し芽は容易です。水につけているだけでも発根します。挿し芽後,2週間程度で植栽できます。植栽後,1か月以内には花が咲き始めます。地際部の茎から発根してくるので,株が込み入ってきたらハサミで切りとり,株分けして増やせます。霜に当てなければ軒下などで冬越しできます。
病気には強いですが,オンブバッタやヨトウムシに葉や花を食害されることがあります。ヨトウムシは,7月頃から発生し,9月上旬に多数発生したことがあります。見つけ次第捕殺します。
ヨトウムシは,漢字では夜盗虫と書きますが,日中日差しが強い時は株元や葉裏に潜んでいて,夜になると活発に動き出します。朝夕や曇天の日には茎の先端や花の部分に出てくるので見つけやすくなります。
(写真2)
原産地はタンザニア。ホウセンカ科。和名はアフリカホウセンカ。花色は赤,朱,紫,白,複色など豊富です。一重が多いのですが,バラ咲と呼ばれる八重もあります。写真2は,フラワーパークかごしまで撮影(2013年5月)したものです。
高温多湿には弱く,日差しの強い夏場(7月上旬以降)は,明るい日陰で育てます。こぼれ種で増え,ホウセンカと同じようにタネがはじけ飛びます。明るい日陰のある場所では最適の花ですが,明るさが不足すると,花数が少なくなります。
摘心しなくてもよく枝分かれし,霜が降りるまで長く咲き続けます。寒さには強くありませんが,霜の降りない所では冬を越します。大きめの鉢に植えると,鉢を覆い尽くすように咲くので,豪華です。ハンギングバスケットにも適しています。
発芽適温は20〜25度と高く,早播き(4.23)しても,温度が低いと発芽がかなり遅れます。5月に入ってからまくと,発芽までは2週間程度です。好光性種子なので,覆土はしません。株間は30a程度と広くとります。セル苗は5月下旬には植え付けでき,6月下旬から7月上旬には,咲き始めます。霜が降りるまでは,咲続けますが,外気温が15度を下回ると花数が少なくなります。枝が伸びすぎて草姿が乱れてきたら,切り戻します。挿し芽も可能で,2週間以内で発根します。
(写真3)
ニューギニアインパチェンス(写真3)は,ニューギニアで発見された野生種から育種された品種群です。インパチェンスより,葉が大きく,茎もしっかりしています。花も若干大きめです。大鉢で栽培すると,インパチェンスよりさらに豪華です。
サンパチェンス(写真4,5)は,インパチェンス属の種間雑種として育成された品目です。インパチェンスやニューギニアインパチェンスよりも,強い日差しに耐えますが,真夏は明るい日陰が適していると思われます。土壌の乾燥にはとても弱いの
ニューギニアインパチェンスとサンパチェンスを長く楽しむためには,4〜5月に植え付けて大きくなった株は,7月中,下旬までに,草丈の半分程度まで切り戻しを行い,追肥をします。
なお,ニューギニアインパチェンスとサンパチェンスは,苗でしか購入できません。
(写真4) (写真5)
ヨトウ類,スズメガに大きく食害されることがあります。アブラシ,クロウリハムシの発生が見られることもあります。花に白くカスリ状に傷が生じるのは,スリップスの被害です。病気では高温多湿,水やり過多により,株元の茎が腐敗する疫病が発生しやすいので,植え付け場所の排水対策は,事前に十分行っておきます。
(写真6)
南アフカ原産。キク科。開花期は長く,5月から11月まで咲きます。曇天や日照不足の場所や,夕方になると,花が閉じます。土壌の乾燥には強いですが,高温時に長雨が続くと,株全体黒く腐れてしまうことがあります。梅雨明け後,強い日差しが照りつけ始めると,排水がよくない場所では,根が傷み,しおれ始めます。強い霜が降りなければ,冬越しできます。
種子は,専門の種苗会社からでないと,入手は困難です。発芽適温は15〜20℃。4〜5月,9〜10月に播きます。写真6は,自宅玄関横の花壇です。苗数を少なくするためゴロタ石を一部敷いています。
(写真7)
近年,色鮮やかで,花色が豊富な大輪系品種(ガズー)の人気が高まっています。この品種は,高温多湿には特に弱いので,鉢かプランター植えが無難で,夏季には,明るい日陰に移動します。
種子から育てる葉が銀白色系のタレントミックス(写真7〜8)や,宿根性の品種(写真9)は高温や乾燥に強く,グランドカバーとしても利用できます。排水さえよければ,梅雨時期も無難に乗り切ります。タレントミックスは,こぼれ種から増え,変わりダネが結構でてくるのが楽しみです。
高温期は開花数が少なくなりますが,ほぼ周年開花します。葉は,雨に打たれると緑色になります。
(写真8) (写真9)
露地に植える場合には,排水がよく,午後からは強い日差しが当たらない建物の東側などを選びます。露地での水やりは控えめにし,葉が少ししおれ始めた時に行います。
株が込み入ってくると,蒸れで株枯れを起こしやすいので,株間は三十a程度と広くとります。
また,肥料が多いと,草姿が乱れるので,肥沃な場所(前作に作付があった場合も含む)では,基肥はやらず,肥料は,生育状況を見て追肥で対応します。株が込み入ってきたら,重なる葉は掻いて,蒸れを防ぎます。花を多くつけるには,花がらは早めに摘み取ります。 挿し芽は簡単です。挿し穂は,10〜15a程度の長さ調整します。挿し芽後10日ぐらいで発根し,20〜25日後には植え付けできます。10〜11月,3〜5月の比較的温度が低い時期には,露地に直接挿し芽(直挿(じかざ)し)してもよく発根します。週に1〜2回雨が降れば水やりの必要はありません。
近年日本でもキク科の植物を中心に被害が確認された害虫ですが,セイタカアワダチソウなどにつくアワダチソウグンバイが発生することがあります。アブラムシなどの防除に使われる粒剤で防除できます。なお,この虫はジニアにも被害を及ぼしており,今後警戒を要すると思います。
(写真10)
ナス科,トウガラシ属です。原産地は,南北アメリカの熱帯地域です。実を観賞します。実の色や形は種々ありますが,ここでは五色トウガラシを紹介します。
花は白い星形の小さな花です。実は,最初は白ですが,紫,黄,オレンジ,赤へと変化していきます。それぞれの色がひと株に混ざり合って華やかになります(写真10)。園芸店では5〜6月頃に,ハウスで育てられた実つき株が販売されるようになります。花が次々に咲きますが,露地では霜が降りる頃まで観賞できます。
排水がよく,日当たりのよい場所が適しています。日陰では実つきが悪くなります。直接霜や強い風が当たらない場所であれば,冬越しでき周年楽しめます。
種は園芸店では販売されていないので,種から育てたい場合は,購入した株から採種します。発芽温度が25度程度なので,5月以降に種を播きます。温度が低い時期に播くと,発芽が遅れます。コボレだねは,5月上旬に発芽します。冬越しさせた株は,6月頃から実は紫
色に色付きますが,種から育てると8〜9月になります。病害虫の被害は特にありません。
(写真11)
トウダイグサ科。原産地は西インド諸島です。花は長さ5〜10a,幅2a程度のウインナー状で,茎はツルになって伸びます(写真11,4つの部品を組み合わせた外径53aのキット花壇に植栽)。花は5月〜10月まで長期間次々に咲き続けます。
霜が降りるような寒さには弱いですが,夏季の高温,土壌の乾燥にはかなり強い方です。排水さえよければ,長雨でも病気が出るようなことはありません。育てやすい品目です。
霜の心配がなくなったら,庭に植えます。花が咲き終わると,黒くなり見苦しいので,花がらは摘み取ります。露地の株は霜が降りる前に鉢上げするか,9月上旬頃に挿し芽をして,霜の当たらない場所で冬越しします。挿し芽は,茎がツル状なので,第2章に記載した新しい方法で行うとよいでしょう。茎は,伸びすぎたら適宜切りつめます。病害虫の被害は特にありません。
(写真12)
キク科。原産地はメキシコ。涼風に吹かれて一面に咲いた花が青空を背景に心地よく揺れる,まさに秋の風情をしみじみと感じさせてくれる花がコスモスです。ある程度草丈(1b前後)があったほうがその風情も深まると思われますが,そのためには7月中下旬頃に種を播くとよいでしょう。
コスモスの一般的な品種は,秋になり日長が短くならないと花が咲きません。ですから,種を早く播くと草丈がかなり伸びてしまいます。こぼれ種からの苗を育てると草丈が2b以上になり,下葉が枯れたり,倒れやすくなったりします。写真12は,平成14年10月5日に撮影した鹿児島県出水市上場公園のコスモスです。
草丈が伸び過ぎた場合には,7月下旬頃に20〜30a程度残して切り戻しをします。わき芽を挿して増やすこともできます。
温暖な地域では,9月上旬頃に種をまいても花は咲きますが,種まきが遅くなると草丈が短くなってしまいます。日長にあまり影響されずに咲く品種も育成されています。ただし,早まきした場合,必ずしも開花ぞろいがよいとは言えません。病害虫の被害は特にありません。
お勧め品種は一重のセンセーション(混合)で,赤,桃,白の三色が楽しめます。早咲きタイプで,種まき後2〜3か月で開花します。
なお,キバナコスモス(黄,オレンジ,赤色の品種がある)は日長に関係なく早くから咲き,開花もよくそろいますが,コスモスとは種が異なります。一般的なコスモスと違って,秋になって日長が短くならなくても,花が咲きます。草丈の低い矮性種はお勧めです。
直播き,床播き,プラグ育苗いずれでもよく,床播きの場合は本葉が4〜6枚の頃植え付けします。株間はおおむね25〜30aとします。基肥はチッ素,リン酸,カリの成分量が8〜10%程度の化成肥料を1平方b当たり80〜100c施します。生育が悪い場合は追肥で調整します。
(写真13)
シソ科。原産地はインドネシア。発芽適温20〜25度。4月下旬に種を播くと,2週間程度で発芽します。発芽率はよく,こぼれ種でも増えます。挿し芽も容易で,2週間程度で発根します。
赤,緑,黄,白,複色など色とりどりの斑入りの葉模様が楽しめます。秋になり温度が下がってくると,特に葉の色が鮮やかになり見事です。霜が降りるまで長期間楽しめます。室内で冬越しします。温度が低くなる前に挿し芽をし,3号鉢に鉢上げしておくと,場所をとらないので便利です。4月上旬に3号鉢に6本挿し芽をして発根したものを庭植えしましたが,8月末には,直径が約80a,高さが60aまでに成長しました。どれだけ大きくなるか,大株づくりに挑戦するのも楽しいと思います。写真13は大鉢(直径33a,高さ37a)で栽培した株です。
品種は多く,葉の色だけでなく,葉の大きさや形も種々あります。普通タイプのレインボー系,葉の縁が波を打つフリンジド系,剣葉のサーベル系,キク葉のケアリー系があります。最近は宿根性の種類も販売されていますが,霜には弱く,露地での冬越しは困難です。
(写真14)
株間は25〜30a程度とします。植え付け後本葉が8枚前後に摘心すると,枝分かれして株張りが良くなります。夏場は,午後からの強い直射日光が当たらない場所が無難です。葉が焼けたり,葉色がぼけやすくなったりします。できれば明るい日陰が好ましい品目です。肥料,特にチッソ肥料を効かせ過ぎると葉の緑が濃くなって,他の色が出にくくなるので注意します。
株を大きくしたい場合には,花が咲いてきたら早めに摘み取ります。草丈が高くなったら切り戻します。写真14はフラワーパークかごしまで撮影(2014年1月)したものです。
カタツムリ,ナメクジ,オンブバッタ,ヨトウ類の食害を受けることがあります。宿根性のものは,コナカイガラムシが発生することがあります。
(写真15)
シソ科。サルビアの種類は数えきれないくらい多いのですが,スプレンデンス,ファリナセア,コクネシアが主要です。
スプレンデンスは,通常よく見られる赤いサルビアです(写真15。2001年12月,フラワーパークかごしまにて撮影)。その他に桃,白,紫,赤と白の2色咲があります。原産地は中南米,ブラジル。コクネシアは,アメリカ南部原産。花色は赤,桃,白。こぼれダネでよく増えます。スプレンデンスと比べると,花が小さく,すっきりとした草姿です。
ファリナセアは,青,青と白の複色。原産地は北アメリカです。青系では,宿根サルビアのミスティックスパイヤーズブルー(写真16)は花数が多く,梅雨時期も見事に花を咲かせるのでお勧めです。モンシロチョウが好んで蜜を吸いに集まってきます。
(写真16)
スプレンデスの発芽適温は20〜25度。適期に種を播け週間前後で発芽します。適温より温度の低い4月上旬に種を播くと,発芽が遅れ,2週間程度で発芽しますが,早く植え付けられるので,開花が早くなります。
種類や品種によって異なりますが,4月上旬に種を播き,5月上・中旬にセル苗を植え付けると,7月上・中旬から花が楽しめます。ちなみに,コクネシアのこぼれダネからの苗は,6月下旬から花が咲きます。
自宅の霜の降りない暖かい場所で,ファリナセア(写真17)を冬越しさせたことがありますが,4月中旬に蕾が青く色づき始め,5月上旬には花が咲き始めます。2月下旬から3月上旬に地下部から新芽が出始めたら,前年の古い枝を刈り込みます。ファリナセアは,ホコリダニ(肉眼では見えない)の被害で茎の先端の葉が縮れ細くなることがあります。
(写真17)
代表的な夏の草花として栽培されることが多いのですが,夏場の高温乾燥にはそれほど強くありません。真夏には,葉が黄色くなったり,立ち枯れたりしている株がよく見受けられます。高温乾燥時には,葉ダニの被害が出やすく,このような株は,その影響を受けている場合もあると思われます。夏場に花を咲かせたい場合には,特に十分な水やりが必要な品目です。
本来,サルビアスプレンデスは直射日光が当たらない,明るい日陰のほうが生育はよく,花も鮮やかです。購入した開花苗を早春に植え初夏まで花を楽しむか,7月下旬に種をまいて,秋に開花させるほうが生育はよくなります。秋には低温の影響で,花色が一段と冴えて美しくなり,霜が降りる前まで咲き続けます。品種や時期によって異なりますが,開花後花がらを一斉に摘み取ると20日前後で咲き揃います。切り戻しをすると,ほぼ1か月後に再び花が咲き始めます。株間は25a程度とします。挿し芽は容易で,2週間程度で発根します。
高温多湿条件下では,地際から黒く枯れあがる疫病が発生しやすくなります。病原菌は,フィトフィラニコチアナと呼ばれる糸状菌(カビの一種)で,スプレンデスは発生しやすい品種です。この菌の最適温度は30〜32度で,スプレンデスは夏季の高温と土壌の乾燥にも弱いので夏季の栽培は避けます。
ハダニの発生も夏季に多いので,そのことからも温度が低い時期に栽培した方がよいでしょう。
(写真18)
キク科。原産地は地中海沿岸。黄色い小さな花が花茎の先端にまとまって咲きますが,観賞価値はあまりありません。切れ込みのある銀白色の葉を楽しみます。草丈は50〜60a程度伸びます。花壇の縁取り(写真18),寄せ植えで利用されることが多いですが,まとめて植え込む(写真19)と見ごたえがあります。苗が不足する場合,合間に植えて(写真20),苗が大きくなったら間引くといった利用方法もあります。間引いた株は,切り戻して鉢上げし育てると,引き続き活用できます。挿し芽は可能ですが,発根までは1か月程度と長くかかります。
白妙ギクがあると,花壇がとても魅力的になります。経費削減のためにも,お勧めの品目です。写真18〜20は,フラワーパークかごしまで撮影したものです。
(写真19) (写真20)
夏越しがしにくくなるので,花は咲かせません。蕾が見え始めたら,切り戻します。また,花壇の縁取りとして植えた場合には,草丈が伸びたら,20〜30a程度の高さに切り戻します。草丈が伸びると,倒れやすくなります。写真18のように花壇の縁取りに使う場合には,草丈を伸ばさないために,基肥は施さず,生育を見て追肥で調整します。
ゴマノハグサ科。熱帯アジア,アフリカ原産です。主な品種はピッコロ(写真21,22)で,花色は青,紫,赤,ピンク,白です。赤やピンク系は,高温期は花色があせやすくなりますが,秋になると鮮やかになります。這い性で黄色の品種,バイロニーもあります。近年は,同じく這い性で吊り鉢や大鉢栽培向きの,栄養系トレニアも販売されています。分枝性が強く,良く伸び,青色の品種もあるのが特徴です。どの品種も寒さには強くありません。
(写真21) (写真22)
ピッコロの発芽適温は22〜25度で,4月下旬に種を播くと発芽まで2週間前後と,発芽日数は長いです。4月上旬に播くと,発芽がかなり遅くなります。種は微細で,覆土はしません。
こぼれダネでよく増え,次年度は花色が分離しますが,種を播かなくてもよいくらいに増えます。こぼれダネからの苗は,6月上旬には植え付けできる大さになります。挿し芽も容易で、水につけておくだけでもすぐ発根します。挿し芽後,2週間で植栽できます。
セル苗は,種播き後40日程度で植え付け可能な大きさになりますが,用土にあまり根が絡んでいない小苗でも活着良好です。5月中旬にセル苗を植えると,早い株は6月上旬には5a程度の高さで蕾をつけ始め,下旬から咲き始めます。草丈は30〜40aの高さになります。花は10月中旬まで楽しめます。
摘心しなくてもよく分枝します。ピッコロの株間は20〜25a程度とします。密植したり,肥料をやり過ぎたりすると,徒長して倒れやすくなり,開花も遅れます。また徒長すると,乾燥に対する抵抗力が弱まり、しおれやすくなります。
草丈が伸びすぎて倒れやすくなったときには,ピッコロは10a程度の高さで切り戻します。かなり低く切り戻しても萌芽してきます。25〜30日程度で再び花が咲き始めます。低温期に肥料切れになり株が老化してくると,ウドンコ病になりやすいので,9月上中旬頃には生育を見て追肥をします。
まれにナメクジ,カタツムリ,オンブバッタの被害を受けることがあります。茎の先端の葉が縮れ細くなることがありますが,それはホコリダニの被害です。ホコリダニは肉眼で見えません。被害株は見つけ次第処分します。
白絹病には強い品目ですが,株が弱るとごくまれに被害を受けることもあります。
キョウチクトウ科で,原産地はジャワ島やマダガスカル島です。花色は白,白に赤目,淡〜濃桃,赤,青紫など。一輪の命は短いのですが,次々に花が咲きこぼれます。近年は花の大きさもやや小さなものから大きなものまでバラエティに富むようになりました。夏の暑さと乾燥にもめげず,株一杯に花をつけて咲き続けます。
(写真23)
もっと親しまれてもよいと思われるきれいな花ですが,学校や地域の花壇にもその姿はあまり見られません。梅雨時期の疫病の発生を恐れてのことだ,と考えます。疫病は栽培方法を少し工夫すれば,被害は少なくなります。いったん栽培のコツをつかめば,この花の魅力に取り憑かれてしまうでしょう(写真23)。 発芽に高温を必要とするので,4月20日頃に種を播いても,発芽までに15日程度かかります。5月に入ってから種を播くと発芽や生育が順調で,65日前後で開花します。4月上,中旬に播いても初期生育が遅く,開花時期は少し早まりますが,ほぼ変わりません。
乾燥に強く,草丈は60〜70a程度まで伸び,お盆過ぎに追肥をすれば10月下旬まで花を楽しめます。9月下旬頃さやの中の種が黒く見えるようになれば,自家採種できます。初期生育が遅いので,液肥で生育を促します。
雨が多いときに発生しやすい,地ぎわや葉の付け根から黒く腐れてくる疫病(病原菌はフィトフィラ)が最も問題です。カタツムリやナメクジ,スリップスの花弁への被害がほんの少しあります。ダニやアブラムシなど害虫の発生があると記載されている文献もありますが,自宅では発生を見たことはありません。
アブラムシが媒介するウイルスによる委縮や縮葉に似た症状がまれに発生することがありますが,それはウンカ・ヨコバイが媒介するファイトプラズマ(以前はマイコプラズマ様微生物と呼ばれていた)という特殊な細菌が原因です。
異常高温の夏には,暖地では極まれにキョウチクトウスズメガが発生することがあります。
こぼれダネからそのまま育ったり,プラグ苗などの小苗から育てたりすると発生がかなり少なくなります。発生が多い梅雨の時期までに根がしっかりと張り,株元が風雨でぐらつかないので発生が少なくなる,と考えられます。もちろん植え付け前の排水対策は万全に行います。写真23は,プラグ苗から育てた8月上旬の開花状況です。
購入苗の場合は,鉢全体に根がしっかりと張ってから,晴天の続く日を見計らって,根鉢を崩さず,茎葉や根を傷つけないようにていねいに植え付けます。茎がぐらぐらしないように植えるのがポイントです。根が張るまでは,水やりは,決して地ぎわや茎葉にかからないようにします。
梅雨を過ぎてから植えると,疫病の発生はほとんどなくなります。雨が長く続かなければ,問題はありません。
キツネノゴマ科。ペルー原産です。現地では高さ1.5b程度の低木ですが,日本では鉢物として流通しています。花は,黄色い苞(ほう)から細く伸びた白い部分です。夏の暑さには強いですが,高温時期は午後からは直射日光が当たらない場所が適しています。明るい日陰であれば開花します。寒さには強くありません。霜に当たらない場所であれば露地でも冬越できます。
自宅では露地で冬越しした株は,5月(2020年)に一部咲き始めました。その後は開花せず,9月上旬から再び咲き始め(写真24),霜が降りる前まで開花しました。前年フラワーパークかごしまでも真夏は開花しませんでしたが,インターネット情報では,開花期は5〜10月となっています。
パキスタスの栽培経験は,まだ2年でよくわからないこともあり,真夏に咲かなかった原因は今後究明したいと思っています。
春に霜が降りなくなったら,戸外に鉢を出したり,庭に植え付けたりできます。鉢は,一回り大きな鉢に植え替えます。植え替えや庭への植え付けにあたっては,肥料を施します。
霜が降りる前に,15〜20a程度の高さに切り戻して,室内か霜の降りない明るい場所で冬越しさせます。
アブラムシやカイガラムシが発生することがあります。
(写真25)
夏の花といえば,ヒマワリの名がすぐ思い浮かぶのではないでしょうか。ギラギラ照りつける太陽の暑さにも負けずに咲くイメージがあり,青空に向かってすくすく伸びるたくましいその姿を見ていると,元気づけられます。ヒワマリは,近年切花としても人気が高くなっています。キク科。原産地は北アメリカです。
草丈が30〜50a程度しか伸びないわい性の品種や,2b前後から,それ以上伸びる品種があります。花色は淡い黄色からオレンジ,茶色,変わったところでは二色咲きがあります。花径も10a前後から20a以上と幅があります。枝分かれしてたくさんの花(多いものは15輪以上)をつけるものや八重咲きもあり,一口にヒマワリといってもバラエティに富んでいます(写真25)。一輪の花は長くて2週間程度観賞できますが,分枝性の品種は次々と咲くのでおおよそ3週間は花を楽しめます。 (写真26)
直播きでもよいですが,プラグトレイで育苗すると管理が楽で生育ぞろいがよく,欠株の心配がありません。露地にたくさん種を播く時は,人さし指の第一関節まで押し込むようにすると,深さがそろって発芽や開花がそろいます。種播きの深さが浅いと,土壌表面は乾燥しやすいので,土壌水分が少ないと発芽が遅れたり,胚軸が伸びて苗が転んだりします。深すぎると,発芽しなかったり,発芽が遅れたりします。
ヒマワリの発芽適温は25〜30度とされていますが,意外と低い温度でも発芽します。ソメ
イヨシノが咲き始める3月下旬に種を播いても十分発芽します。
ますが,種を播いてから45〜60日程度で花が咲きます。3月下旬に種を播くと5月下旬には
花が楽しめます(写真26:矮性で,分枝性の品種:ミラクルビーム,6月6日撮影)。台風の
被害を避けたいと考えれば,5月上旬までに種播きを終えるとよいでしょう。
日長の長い夏場は,品種(秋になり,日長が短くならないと開花しない,いわゆる短日性の品種。切り花用品種のサンリッチレモンやサンリッチオレンジなど)によっては,日長が長くなる春から初夏に植え,肥料と水を与え過ぎると3〜4bを越す高さになります。草丈の伸びやすい品種は支柱を準備し,肥料は基肥を少なめにして,追肥で調整するとよいでしょう。
咲き終わった花は結実すると重くなり倒れやすくなります。また,樹勢を維持し次の花を咲かせるために分枝性の品種は,花が咲き終わったら摘み取ります。
花は東を向いて咲くので,南北に走る道路沿いに植える場合には,西側に植えます。株間は草丈によって10〜50aの間隔で調整します。
これまで自宅では,特に問題となる病害虫はありませんでしたが,ガザニア同様まれにアワダチソウグンバイが葉裏に発生することがありました。
なお,切り花用のハウス栽培では,ツマグロアオカスミカメ,ハスモンヨトウ,ハダニ,アブラムシが発生します。カスミカメは茎の先端の生長点を吸汁するのですが,葉が大きくなると小さな穴が目立ってきます。
キク科。メキシコ原産です。花色は桃,黄,赤,橙,白,緑,複色と豊富。4月下旬に種をまくと,3〜4日でほとんど発芽します。4月上旬に種をまいても,5日後には発芽し始めます。セル育苗では,は種後2週間で苗を植え付けできます。は種後50日程度(6月20日頃)で,花が咲始め,9月下旬〜10月上旬頃まで楽しめます。7月下旬〜8月上旬に種をまくと,9月中,下旬頃から霜が降り始めるまで咲きます。
ひとつの花は,3週間程度と長く観賞できます。切り花にする場合は,若切りすると2日程度で花首がしおれるので,しっかりと開いた花を飾ります。
(写真27)
花の大きさと草丈は,品種により大きく異なります。花は,花径により極小輪(2〜3a),小輪(46a),中輪(7〜8a),大輪(9〜10a),巨大輪(12a前後)の5種類に分かれます。花形は,ダリア咲き,カクタス咲き,ポンポン咲の3種類があります。
草丈も,30〜120aとかなり差があり,カタログに記載されている草丈よりかなり伸びる場合があります。花径が小さいと,草丈は短くなりますが,大輪のF1ドリームランドは矮性で,25a前後で花が咲き始めます(写真27)。
草丈が伸びる品種は,開花は少し遅れますが,植え付け後2回摘心を行うと,分枝数が増え,草丈を抑えることができます。花数が増えてきたら,込み入った部分を少しずつ切り戻して,草丈を低く抑えるようにするとよいでしょう。極小輪系のポンポン咲きの品種でも,草丈30a程度から咲き始めますが,栽培状況によっては60aを超え,倒れることがあるので注意します。
よく分枝するので,株間は30aで植えます。長期間咲き続けるので,追肥を月に1回程度します。花が咲き終わったら,花がらを摘み取ります。挿し芽も容易で,2週間程度で植え付けできます。暑さや土壌の乾燥には強い方ですが,土壌の乾燥が続くと,下葉が上がりやすくなります。
ちなみに8月7日に台風襲来のため,20センチ高さで切り戻し,追肥しましたが,20日後に再び咲き始めました。
ヒャクニチソウの仲間を学名でジニアと呼びます。最も一般的なジニアは,上述のエレガンスです。この他にも,次のようなよく栽培されている花があります。
★リネアリス
(写真28)
和名は,ホソバヒャクニチソウ。名前のとおり,葉が細いのが特徴です。一重咲き。花色はオレンジ,黄,白。花径3a程度の小輪系で,草丈は30a程度と低い(写真28)。土壌の乾燥や,病害虫には強い。梅雨明け後,ダニが生することもありますが,防除するほどではありません。施肥量が多いと,草姿が乱れます。草姿が乱れ始めたら,半分程度の高さまで切り戻します。
★プロヒュージョン,ザハラ この2つは,エレガンスとリネアリスとの交配種で,リネアリスの草丈が低く,病気に強い性質と,エレガンスの花の大きさや花色が豊富な性質を受け継いでいます。草丈は30〜40aと低く半円球状になり,鉢やプランター栽培にも適しています。花径は4〜5a程度の小輪。株の衰えを防ぐためには,花がらは早めに摘み取ります。暑さや土壌の乾燥,うどんこ病,褐斑病など病気に強い品目です。
(写真29)
写真29は,もともと大きな花瓶で,バーゲンで購入したものです。底に穴を苦労して開けて,大鉢として利用していました。とても愛着があったのですが,長い間戸外に置いていたため劣化が進み,やがてわずかなヒビが入りました。冬の寒さが厳しく,氷が張りついた時に,残念ながらヒビの部分から大きく割れてしまいました。陶器の鉢については,こうしたこともあり得る ので注意が必要です。
雨が多いと,うどんこ病,斑点病,かっ斑病が出やすくなります。うどんこ病は,秋に温度が下がってきた時や,肥料切れなどで株に勢いがなくなってきた時に,発生しやすくなります。
害虫は,ナメクジ,カタツムリ,オンブバッタ,ハナムグリ,アブラムシ,ヨトウムシの被害を受けることがあります。バラを食害するルリマルノミハムシによる被害が発生することもあります。
(写真30)
シュウカイドウ科。花色は桃,赤,白で,花は次々に咲きます。葉の色は緑色系と銅色系があります。種は微細で,発芽適温は20〜25度。育苗期間(種播きから本葉が2〜3枚になるまで)が45〜60日かかり,開花までの日数が長いので,花壇での栽培では他の草花とサイクルが合わないので,自宅では栽培する場合には,主に鉢用として購入苗を利用しています。写真30は玄関ドア,写真31,32は自宅北側露地のベゴニアセンパフローレンスです。
高温多湿には弱く,特に7月中旬頃からは,土壌水分が多すぎると,株もとから腐れて枯れやすくなります。土壌水分がかなり不足してくると,葉の緑色が薄れ,白っぽくなります。水やりの目安になりますが,そうなる前に土壌表面が乾いてきたら水やりします。露地でも直接霜や寒風に当たらない南側の軒下であれば,冬越しできますが,室内で育てるのが無難です。露地で冬越しした株は,4月下旬には再び咲き始めます。
(写真31) (写真32)
株間は20a程度。明るい日陰がよく,夏場の直射日光は避けます。午後から直射日光が当たらない建物の東側では,7月上旬までは日焼けは起こしませんでした。
伸びすぎて草姿が乱れたら,5a程度の高さで切り戻します。追肥もあわせて行います。ほぼ1か月で再び花が咲きます。株分けや挿し芽で増やせます。挿し芽後2週間以内に発根します。
ベゴニアは,その形態などによって木立性,球根性,根茎性の3グループに大別されます。木立性は,名称のとおり木のようにしっかりとした茎が直立して伸びるタイプのものの総称ですが,あくまでも木ではなく草です。花は茎の先端部分に房状に咲きます。
株元から柔らかな短い茎がいくつも出るベゴニアセンパフローレンスは,ベゴニアの新しいグループとされていますが,本来的にはこの仲間になります。なお,近年ベゴニアビッグ(写真33,34)と呼ばれる花も株も大型の品種が出回っています。基本的にはセンパフローレンスと同様に育てますが,センパフローレンスよりも強い日差しに耐えます。実験的に,真夏に終日陽のあたる場所に鉢を置いたままにしていましたが,葉が焼けることはありませんでした。
ただし,午後からは直射日光が当たらない場所の方が,葉や株の生育はかなりよいです。冬の寒さにも,センパフローレンスよりも強いですが,直接霜に当たらない場所で冬越しします。株間は35〜40a程度と広くとります。写真34は,フラワーパークかごしまで撮影(2019年6月)したものです。
(写真33) (写真34)
根茎性は,地中や地表面で根が茎のように横に這うタイプのものです。葉を観賞用として楽しむレックスベゴニア(写真35)がその代表です。株分けだけでなく,葉挿しでも増殖できるのがこのグループの特徴です。ミニ観葉としても楽しめます。
球根性は,地中に球根を形成します。春に球根から茎が伸び花を咲かせ,秋に地上部が枯れます。冬は球根で休眠します。高温多湿には弱いです。これらの球根性ベゴニア同士を交配して育成されたのが球根ベゴニア(写真36)です。
(写真35) (写真36)
(写真37)
エラチオール・ベゴニアは,原種のひとつであるソコトラーナ(球根性,短日性)と,球根ベゴア(長日性)から交配育成された新しいベゴニアのグループです。
さらに育成された品種群が,有名なリーガース・ベゴニア(写真37,38)です。一重と八重があり,花色は赤,ピンク,オレンジ,黄,白,複色と豊富です。短日性植物(相対的短日植物)なので,本来は秋〜冬にかけて開花しますが,日長操作(短日処理)により,夏場は少ないものの周年出荷されていま
す。エラチオールベゴニアは,高温多湿には弱いですが,耐寒性のない球根ベゴニアより栽培(写真38)しやすいと言えます。落花防止剤により処理がされているので,開花株はおおむね一か月程度は観賞できます。11月末に購入した鉢(やや開花が進んでいた株)では,12月末に開花が終了しました。咲き始めの株であれば,もっと長く咲くと思われます。
その後,うどんこ病がかなり発生したので,5a程度の高さで切り戻しました。小さな葉が2〜3枚付いていただけですが,最低温度が8度以下にはならない明るい室内で管理したところ,6月上旬から再び開花し始めました。12度以上の温度が確保できれば,新しい花芽が早く上がってきます。
高温で夏越しが難しい場合には,挿し芽で更新すると,自宅では11月下旬から第1花が咲き始めました。目下(令和3年12月23日)開花中です。
(写真39)
和名はツクバネアサガオ。ナス科。原産地は南ブラジル,アルゼンチンです。花色はピンク,赤,白,黄,紫,複色と豊富。花の大きさも,大輪から小輪系まで多種。一重だけでなく,八重咲きもあります。霜が当たらない,東側の暖かい軒下であれば,冬を越します。令和4年には,軽い霜程度であれば,問題がないことがわかりました。また10月に購入した3号鉢の開花株を7号鉢に移し替えて,霜の降りない日当たりのよい軒下で育てたところ,3月上旬までは草姿が乱れることなく育ち,開花し始めた若い株は低温下でも継続して開花することがわかりました。
(写真40)
発芽適温は20〜25℃。バカラピコティーミックスは,花径7〜8aの覆色ですが,4月下旬に種をまくと,10日程度で発芽し,は種後70〜80日で開花します。花は10月中旬頃まで楽しめます。写真39(2013年8月19日撮影)の品種は小輪系のブリエッタですが,直径88a,高さ43aの円筒花壇に植栽したペチュニアです。5月上旬に購入株を5株植えましたが,1株は6月下旬の雨で枯れたものの,その後は雨が少なく,とてもよく育ちました。写真40は,エコチュニアブルーベイン(2012年9月2日撮影)です。
種は好光性で非常に細かいので,は種後土はかけません。発芽後の生育は遅いので,セル育苗中に薄い液肥で生育アを促します。発芽間もない幼苗の時から,ナメクジやカタツムリの被害が大きいので注意します。
(写真41) (写真42)
(写真43) (写真44)
(写真45)
近年高温や雨に強いペチュニア(スーパーチュニア:写真41;ビスタ・シルバーベリー,42:ビスタミニ・ブルースター,写真なし:ラブリーアイ,エポック・パープル))も育成されていますが,一般的に高温や雨に弱いので,環境の良い場所に移せるプランターや鉢で栽培するのが無難です(写真43:サフィニア,44:ナイトスカイブルー,45:五星コレクション)。雨や高温に対する強さは,品種によってかなり違います。ナイトスカイブルーは,高温期には白の斑入りが少なくなります。花弁の外側が青で,中心部が白の品種:ブルーフラッペも高温期になると,ほとんど青一色になります。
たくさん花をさかせるためには最初で株づくりをすることが大切で,開花は遅れますが,植え付け後枝が伸び始めたら摘心します。茎が伸びすぎて中心部の花が少なくなったら,切り戻します。切り戻し後35日前後で再び開花します。
ただし,中心部の葉がなくなる前に切り戻さないと,花が咲いても見苦しかったり,枯れてしまったりすることが多いので注意します。月1回追肥(液肥であれば,月に2〜3回)をし,肥料切れを起こさないようにするのが大切です。
株間は25a程度としますが,横広がりのタイプは35a程度と広くします。挿し芽は容易で,約2〜3週間で発根し,3週間目には鉢上げできるようになります。秋に挿し芽し,小苗で冬越しするとよいでしょう。ただし,挿し芽が困難な品種もあります。種ができにくい品種もありますが,開花株の種から育てると,花色の異なる株が出現します。ペチュニア栽培の楽しみのひとつは,ここにあります。中には雨に強い個体もあり,庭植えもしています。 中には横広がりで,雨に強い株もありますので,自分の好みの株を挿し芽で増やすとよいでしょう。花色が好みのものがあれば,雨に弱い株は,軒下で育てると観賞価値が高まります。
(写真46)
3月上・中旬になると,園芸店ではペチュニアの苗(3号鉢)が販売され始めます。霜の心配がなくなったら,できるだけ大きな鉢の中央に,自分の好みの横広がりタイプの品種を1株植えます。この1株が大きくなるまでは,そのまわりにベゴニアセンパフローレンス(3号鉢)などを植えます。ただし,ベゴニアは4〜5号鉢に移し替えて,鉢のまま植え込みます。
というのは,ペチュニアが大きくなるにつれて,そのまわりのベゴニアは掘り上げて別の鉢か場所に植え替えるためです。フラワーパークかごしまに在職中(2019年)に,このようにして,品種:プリズム・サンシャイン1株を3月上旬に,ほぼ直径80aの大鉢に植えると,7月中旬には大鉢を覆い尽くすように花が咲きました。写真46(自宅,直径88aの円筒花壇)は,4月3日に中央にペチュニア,周辺に矮性ヒマワリ,鉢に埋め込んだメランポジュームの1か月後の状況です。矮性ヒマワリの開花は5月30日〜6月20日で,開花終了後引き抜きました。メランポジュームは,6月10日に他の場所に移植しました。
なおこの栽培方法では,追肥を20〜30日に1回施すこと,花がらを細目に摘み取ることが
大切です。
(写真47)
近年カリブラコアの品種がたくさん育成されるようになりました。ミリオンベル,リリカシャワーなどの名称で販売されているものもあります。
当初は,ペチュニアと同属とされていましたが,カリブラコア属として独立しました。
写真47((2019年9月植栽,2020年5月19日撮影)は,品種不明ですが,霜が降りない場所でしたが庭で一冬超しました。中には高温多湿で枯れる品種もありましたが,この品種は無事夏も乗り切りました。茎が木質化しているので,長く栽培できそうです。
発芽間もない幼苗の時から,ナメクジやカタツムリの被害が大きいので注意します。芽が出たばかりの苗が,一晩で食い尽くされることもあります。高温多湿な梅雨時期には,立枯れ病,灰色かび病が発生しやすくなります。梅雨時期は,雨の合間に花がらをよく摘み取って,灰色カビ病などの病気が発生しないようにします。強雨,雨が4日以上続く場合には,雨に弱い品種は鉢を軒下に移動させます。
品種によっては,肥料不足,かん水不足,低温,老化などで樹勢が弱くなると,ウドンコ病が発生しやすくなります。低温期は元気のない株は特にウドンコ病が発生しやすいです。発生しやすい品種は防除せず,廃棄しています。
害虫は,ハモグリバエやアブラムシが発生することがあります。その場合は,粒剤を施用します。
(写真48)
アカネ科。原産地は,熱帯アフリカなどです。茎の先端に花径約1a,星型の小さな花を半円球状につけます。枝分かれして,次々に花を咲かせます。最低夜温が10度以下になる10月下旬頃には,花や葉が傷み始めます。霜が降りない場所では,冬越しします。花色は赤(写真48),ピンク,白,紫があります。草丈50a程度。過湿を嫌いますが,乾燥には強い花です。一般の種苗店では,種子の販売はされていません。発芽や生育に高温を要するので,開花苗は5月頃から販売されます。
(写真49) (写真50)
株間は30a程度とします。開花期間が長いので,生育具合を見て1か月に1度ぐらいは追肥します。大きくなりすぎたら,株もとから10〜15a程度残して切り戻します。切った枝はさし芽にすれば容易に増やせます。ビオラほどではありませんが,こぼれダネでも増えます。とても育てやすい,お勧めの花です。株がけっこう大きくなり,花数も増えるので,ワンポイントで鉢植え(写真49),庭植え(写真50)にしても存在感があります。
寒さには弱いので,冬は霜や寒風の当たらない所で管理します。9月下旬までに挿し芽で育てた苗や,降霜前に10a程度茎を残して切り戻し,鉢上げした株を,室内の光がよくあたる窓際で育ててもよいいでしょう。
害虫では,まれにスズメガの幼虫に食害されることがありますが,他にはありません。
(写真51) (写真52)
花に興味はあるものの,「花づくりは難しく,管理が大変そうで・・・」と思い込んでいるあなたに,ぜひともお勧めしたいのがこの花です。恐らく最も栽培しやすい草花ではないでしょうか。赤,ピンク,黄,白などの鮮やかな花が一面に咲き乱れる光景は,それはもう華やかです(写真51,52)。 一重が中心ですが八重の品種もあります。雑草のスベリヒユから改良され,和名はハナスベリヒユと言います。 一日花で夕方には閉じますが,多肉質の葉に水を蓄えるので乾燥に強く,6月下旬から10月中下旬頃まで咲き続けます。明るい日陰でも咲きますが,日当たりのよい場所を好みます。
なお,最近は夕方まで開花する品種も育成,販売されています。
とりあえず無肥料で育てます。生育が悪いようでしたら,化成肥料をごく少量施します。肥料が多すぎると,徒長(いたずらに伸び過ぎること)して草姿が乱れます。徒長し倒れそうになったら,五a程度の高さまで切り戻します。切り戻した穂は,十a程度に調整して挿し芽をするとよいでしょう。
挿し芽はとても容易で,土に穂を数本まとめて挿して3〜4日軽く水をかけておくだけで,簡単に発根します。移植も極めて容易です。苗を購入するか,パテントのない品種については隣近所から穂をもらって数本まとめて挿し芽をするとよいでしょう。
いったん植えると,翌年は5月下旬頃にこぼれダネが発芽し,苗がたくさんできます。パンジーなどの前作を早く取り除くと,こぼれダネの発芽は早まります。
土壌水分が多いと,疫病や白絹病が発生しやすくなるので,排水のよい場所に植えます。
(写真53)
ツリフネソウ科の1年草。原産地はインド,中国南部。4月上旬に種を播くと,2週間程度で発芽がそろいます。6月上・中旬から咲き始め,10月中・下旬頃まで咲き続けます(写真53:1998.6.28撮影)。花色は白,赤,桃,紫,複色(絞り咲)で,一重と八重(椿咲)があります。草丈は通常50〜60a程度ですが,矮性種(草丈30a程度)もあります。以前の品種は,花が葉に隠れてしまっていたのですが,最近の品種は花がよく見えるようになり,観賞価値が高くなっています(写真54,55)。
こぼれ種で増えます。自家採種ができますが,種がサヤからはじけ飛ぶので,サヤが黄色くなったら,その前に採種します。
(写真54) (写真55)
株間は20〜30a程度。矮性種は株間を狭めます。肥料不足で下葉がやや黄色くなり始めたら,追肥をします。ホウセンカを栽培すると必ずと言ってよいほど,ベニスズメの黒い幼虫(体長5〜6a程度まで成長)が6月頃から発生します。幼虫が小さいうちに見つけ,捕殺しないと,被害がひどくなります。
病気では,肥料や水分不足,低温などで株に勢いがなくなると,うどんこ病が発生しやすくなるので注意します。
(写真56)
キク科。原産地はメキシコ。発芽適温18〜25度。自家採種できます。独特のにおいがあるのが特徴です。花数が多く,霜が降りるまで咲き続けます。性,大輪のアフリカン系と,わい性,中小輪のフレ
ンチ系(写真56)があります。近年はこの中間タイプが見受けられます。フレンチ系は花径5〜6aで一重と八重があり,花色は,赤,黄,オレンジ,複色があります。
草丈は20〜30a程度です。アフリカン系は,花径8〜10a程度で,八重咲きで,花色は黄,オレンジ,白があります。
草丈は90〜120a程度伸び,倒れやすいので支柱が必要です。マリーゴールドは夏花壇の代表のように思われていますが,高温乾燥時は花数が少なく花色が冴えるのは秋からで,夏が暑い地域では,7月中下旬頃に種を播いて秋花壇として楽しんだほうがよい,と思われます。また,梅雨時期の長雨にも弱いので秋花壇が無難です。フレンチ系の「オレンジボーイ」と「イエローボーイ」は,夏季も花つきがよく,草姿が乱れにくい,育てやすい品種です。
発芽温度は15〜20度で,4月上旬に種を播くと,5日程度で発芽し始めます。セル育苗の小苗は,5月上旬(種播き後25〜30日目程度)に植え付け可能ですが,6月上旬に咲き始め,6月下旬には見栄えがよくなります。
株間は20〜25a程度とします。アフリカンマリーゴールドの株間は,30〜35a程度とします。倒れにくくするためには,ピンチを2回して,草丈を短くしてもよいと思われます。
高温で乾燥が激しい7〜8月は,株枯れを起こしやすくなるので,敷きわらや十分な水やりが必要です。できれば真夏は午後から日陰になるような場所に植えます。ただし,終日日陰になる場所では,花つきが悪くなります。
また,肥料が多すぎると,茎葉ばかりが茂って花つきが悪くなる系統があるので注意します。肥料を多く必要とするサルビアの近くにマリーゴールドを植え付けている花壇をよく目にしますが,あまり勧められません。
挿し芽は容易で,挿し芽後,2週間以内に定植できます。夏季に伸びすぎて,草姿が乱れてくる品種は,挿し芽をして,発根したものを植え直すとよいでしょう。直接霜に当たらなければ,鉢で冬越しできます。冬越しした株から挿し芽をして苗を育てると,翌年早く開花させることができます。
マリーゴールドはカタツムリやナメクジの被害を受けやすい品目です。育苗時や梅雨時は特に注意が必要です。高温乾燥時には,マメハモグリバエやダニの発生が少し見られます。
(写真57)
キク科。原産地はアメリカ。花径3a程度の黄色い小さな花が,株を覆うようにして咲きます。4月中旬に種を播くと,8日程度で発芽し始めます。6月上旬頃から咲き始め,11月中旬頃まで長く花が楽しめます。葉は薄い緑色。乾燥には極めて強い品目です。
高性種と矮性種があります。高性種は,草丈が70a程度伸び,横にも80a程度広がります。大きな花壇や,花壇後方の植栽に適しています。矮性種(写真57)は,草丈が30a程度で倒れにくく,花壇にも適しています。鉢やプランター栽培では,矮性種を植えるとよいでしょう。
こぼれ種でもよく増えますが,こぼれ種からは分離して,葉が大きい系統が出現することがあります。
発芽適温は18〜20度。種播き時の温度が低いと,発芽や生育が不揃いになるので注意します。草丈を高くしたくない場合には,開花は遅れますが,小さい内に摘心を繰り返します。また,高く伸びすぎたら15〜20a程度の高さで切り戻しをします。
ダニの発生が見られる時がありますが,防除するほどではありません。カイガラムシがごくまれにつくことがありますが,実害はほとんどありません。幼苗期は,カタツムリの被害が大きいので注意が必要です。病気は特にありません。
(写真58) (写真59)
トウダイグサ科。メキシコ原産です。花(実際は苞)の形は違いますが,離れたところからみると,カスミソウに似た草花です。草丈は30〜50a程度伸びます。単独で植える(写真58)よりも,他の品目と混植し,他の品目の引き立て役としての活用度が高いと言えます。花壇にとても必要な花だと思います。写真59は,2019年6月にフラワーパークかごしまで撮影したものですが,ベゴニアビッグと混植した花壇です。土壌の乾燥には強い方です。排水さえよければ,梅雨の長雨でも枯れることはありません。
日照は好みますが,夏季は午後からの強い日差しが当たらない場所で育てます。寒さには弱いので,秋に鉢上げし,霜の当たらない日当たりのよい場所,あるいは明るい室内に移動します。挿し芽で増殖可能で,容易です。病害虫の被害は特にありません。
(写真60) (写真61)
(写真62) (写真63)
キク科。原産地は北アメリカ。1年草と宿根草があります。1年草も,暖地では条件がよければ冬を越し,6月上旬から咲き始めます。1年草で,30〜40aと草丈の低い(矮性)品種では,花径が7a程度のトトゴールド(写真60)や,花径が10a程度と大きいローランドがよく知られています。プレーリーサン(写真61)は,草丈60〜70a,花径が10a程度と大きい品種で,花芯が緑色をしているのが特徴です。花色は,黄色,オレンジ色がほとんどですが,近年育成された珍しい赤色の品種チェリーブランディー(写真62)もあります。 宿根草の品種では,花径は3a程度と小さいものの,草丈は60〜80a程度とよく伸びるタカオ(写真63)があります。肥料が効けば1b以上に伸びるので,注意が必要です。冬を越した株は,5月中旬から咲き始めます。
日当たりを好みます。土壌の乾燥にはかなり強い方ですが,多湿は避けます。肥料が多いと,草丈が伸びすぎて,倒れやすくなるので,基肥は少なめとします。生育が思わしくなければ,追肥で調整します。タカオは草丈の割に,強風でも比較的倒れにくいのですが,基肥はかなり控えた方がよいと思います。草丈が高くなりすぎた場合には,30〜40a程度の高さまで切り戻します。
こぼれダネで増えますが,タカオは特に繁殖力が高いので雑草化しないよう注意が必要です。なおルドベキアの品種で,オオハンゴンソウは特定外来生物に指定され,栽培が禁止されています。
花がカタツムリやナメクジの被害を受けますが,その他には特にありません。
(写真64)
キク科。原産地は北アメリカです。葉を触ると,さわやかなレモンの香りがします。車から降りると,レモンの香りが待ち受け,晴れ晴れとした気分で帰宅できます(写真64)。
夏の暑さには強く,冬は軽い霜が降りる程度の地域であれば越冬します。植えたばかりの苗は柔らかいですが,大きくなると茎は木質化します。
年2回花が楽しめます。1回目は4月中旬〜6
月上旬頃まで咲きます。2回目は11月上旬から1月極上旬頃まで咲きます。放置すると草丈は1b以上になるので,8月下旬から9月極上旬に切り戻しをします。時期が早いと,草丈はかなり伸びます。どこで切っても芽は出てきますが,切り戻し後50〜60a程度伸びるので,20〜30aの高さで切ります。
挿し芽で増やせます。挿し穂が長いと水上げが悪いので,10a程度の長さで挿します。およそ3週間で鉢上げできます。
病害虫の被害は特にありません。