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     失敗しない,上手な花の育て方 第1章      
    (初心者にも簡単にできるガーデニング)


  今日からあなたも花博士 
 新技術で簡単! 枯らさずに長く育てる鉢花づくり,楽々手作りガーデニング
     恐らく    

      世界で最も簡単でわかりやすい趣味の園芸花栽培マニュアル


ノーゼンカズラと南側メイン花壇本文より(庭の話をするときに)


 ムード音楽を流して美しい花々を眺め,かわいい妻と,フーテンの寅さん風に言うとレモンチィーを飲みながら,これまでのことやこれからのことを談笑しつつ人生を送りたい,と時々冗談風に話をすることがあります。
 すると聞いている人は,思わず笑って「いいですね。うらやましい」と言ってくれます。
 農大に勤務しているしている時には,学生が眠そうにしていると,「これまでの愛やこれからの愛を語る」と一部表現を変えて話すと,大爆笑でした。


                   




 第1章 
初心者にも簡単にできるガーデニング


 目 次→下線を引いた各項目をクリックすると,本文にリンクします。


1 高齢化時代に対応した庭・花壇づくり

 
◆省力化
 ◆経費削減
 ◆新しい品目への挑戦

2 花の消費拡大推進
 
◆消費拡大が進まない理由
 ◆花づくりの問題点を解決する方法

3 私がガーデニングを始めた動機
 
◆庭づくりの意義を人生設計の中で考える


4 無理せず,長く続けられるガーデニングの楽しみ方

 
◆長続きのする庭づくりを実現するためには
 ◆花壇の作り方を工夫し,経費や労力を少なくして,無理せずガーデニングを楽し
  む方法
 ◆苗数の削減と苗が大きくなるまで,花壇の観賞価値を高める方法
 ◆ゴロタ石,コニファー,花木などを利用して苗数を少なくする

 ◆管理が楽な花壇,植物に変える
 ◆増殖が簡単で,一度購入すると後は苗代が不要な多肉植物を植える
 ◆庭が広い場合には,特に雑草対策を考えて花壇をつくる。カバープランツを有効活用
 ◆大きくなる庭木を植える場合には慎重に
 ◆経費や労力が削減できる技術,工夫を取り入れる

5 自宅敷地の見取り図

6 自宅ガーデニングにかかわる管理時間

7 自宅の庭に必要な苗数(令和2年秋~令和3年夏までの事例)

8 自家苗の内容

 自宅の花木,果樹




1 高齢化時代に対応した庭・花壇づくり


  
40歳で自宅(2階建て,敷地87坪,内庭は約55坪)を建てましたが,老後になっても長く楽しみ続けられる方法を考え,今日まで実践してきました。
 
1
㌢角の方眼紙に花壇の設計図を自分で書き,コツコツと年数をかけて,徐々に仕上げ,完成までの過程をゆっくりと楽しむことにしました。現在の1日当たりの庭の管理労働時間は,多く見積もって1時間30分(内訳は本文参照のこと)です。40歳に家を建ててから毎年継続して取り組んでいるので,本書の内容は誰でも実践可能であると考えます。
 ちなみに,山と渓谷社が発行するガーデン&ガーデン(No.5)における1998年全国ガーデンフォトコンテストで第2位を受賞したことがあります。
 庭や花づくりは,手先や体を動かし,頭も使うので認知症予防にとてもよいと思います。花が咲いた時の感動だけでなく,育てることや植物の生長の過程を見るのも楽しく,こうしたことが生きがいや心の健康につながると考えます。

◆省力化

 
庭・花壇づくりが労力的に負担にならないようにしました。
◆手を伸ばせば,植え付け,除草,追肥など管理がしやすいような花壇のデザインにしました。花壇の奥行を短くし,耕すのはクワでなく,腕や腰に負担がかからないスコップにしました。

◆剪定作業,葉や枝の持ち出し作業をできるだけ少なくするため,家の周りに生垣は設けませんでした。年をとると,大きな木の剪定や持ち出しはできなくなるので,徐々に少なくしました。
◆除草が楽になるように,通路にはジャリを厚く敷きました。また,駐車場の周り(幅60㌢,延べ17㍍)は,極めて育てやすく栽培管理が楽で,新芽が,花が咲いたように美しい,つる性のハツユキカズラを植え,雑草が生えないようにしました。
◆植え付けは,省力化のため,自分で育苗した植え付け後の活着がよいセル苗を鉢上げせず花壇に植えました。鉢上げや育苗期間中のかん水労力がなくなり,鉢上げ用ポットが不要になりました。

◆経費削減

 老後に趣味でお金がかかると長続きがしないので,できるだけ経費が少なくてすむようにしました。
◆種苗費が少なくなるよう,少ない苗でも花がたくさんあるように見える花壇のデザインにしました。我が家の庭のメインは,5連のレンガブロックを内側に24個,外側に28個自分で並べて造った花壇です。幅38㌢,外径497㌢,内径385㌢の2重円を描いています。幅を狭くし,植え付けや草取りをしやすくしました。苗数も44株(株間25㌢)と少ないですが,中心からは周りを花で取り囲まれ,花が一杯咲いているように見えます。
 花壇の上には棚を設置し,ノーゼンカズラを這わせています。ノーゼンカズラは6月とお盆前に2度咲き,梅雨と暑さ厳しい折に,さわやかなオレンジ色で辺りを彩ります。
 花壇の中心にはテーブルとイスを置き,夫婦でお茶を飲み,取りとめもない話をしながら,季節の花をながめていると癒されます。
 今のところ苗は種まきや挿し芽などで作っていますが,仮に1100円で購入したとしても,年2作で9千円足らずです。月8百円もしない経費で,周年花が楽しめたらいいと思いませんか。アイディアや工夫次第で,花づくりはもっと楽しくなります。現在株間は3040㌢程度でよいと考えていますが,そうすると種苗費はもっと安くなります。

◆花壇は全てレンガや花壇キットなどを使って,手づくりで仕上げました。後で変更できないので,セメントは使わず,円筒花壇を除いてレンガや花壇キットなどは並べるだけにしました。一気に資材を購入すると,経費がかさむので,自分のこずかいで少しずつ購入し,年月をかけて少しずつ仕上げました。
◆苗の購入はできるだけ少なくし,できるだけ種(自家採種も含む),挿し芽,株分けから苗を育てました。挿し芽技術は,これまでにない省力的な方法を開発しました。上記のハツユキカズラは,全て挿し芽で増殖しました。
◆上手に長く育てる技術を習得して,種苗費を軽減しました。
◆ロックガーデンなどに使用した石は,全ていただきものです。
 
◆新しい品目への挑戦

 最初でつまずくと,その後の取り組みがいやになりあきらめてしまうことが多々ありがちです。そこで,最初に栽培する品目は育てやすい品目にするとよいでしょう。しかし,同じ品目ばかり栽培しているとあきがくることもあります。失敗はあるかもしれませんが,自分が栽培したことのない新しい品目に挑戦することが,特に高齢者には必要と思われます。年をとるにつれて,徐々に意欲が減退していきます。ですから,どんな花もきれいに咲かせたいという新たな動機づけができれば,いつまでも生き生きとした毎日を送ることができると思います。


2 花の消費拡大推進


 花に係わる仕事をしてきた者として,花の消費拡大をしたいと考えています。花が好きな人,花のある風景が増え,花に関係することを職業としている人たちの発展に少しでも貢献できればとの思いから,消費拡大の推進方法を提案したいと考えます。なお,新技術及び新技術を確立に至った経緯(本文参照のこと)については,生産者にとっても大いに参考になると思います。
 

◆消費拡大が進まない理由

 花が好きな人は多いと思いますが,次の3点から花づくりをあきらめている人も多いと考えます。
①面積や鉢数が多いと,育苗,植え付けや除草などの労力や,種苗費など経費がかかる。
②水やり,施肥,温度管理,病害虫防除などの栽培技術が難しく,枯らしてしまう。
③雨や台風,低温などの自然災害で失敗する。 

◆花づくりの問題点を解決する方法

 ①の解決方法は,上記1のとおりです。②と③の解決方法の詳細は本文を参照下さい。趣味の花づくりにおいては,長きに渡って,初心者が簡単に花を咲かすための新技術の開発はほとんどなく,経験と勘に富んだベテランでないと上手につくりこなせない状況が続いています。ここでは,本書の最大の特徴として「初心者でも簡単に栽培でき,枯らさずきれいに花を咲かせられる」をモットーにした画期的な新技術を紹介します。
 ガーデニングは目下ブームがやや下火になっていますが,これからもブームとしてまだまだ続くためには,誰もがもっと取り組みやすいようにすべきだ,と考えます。つまり,栽培技術をもっとわかりやすく簡単に,経費や管理時間をできるだけ少なくする必要がある,と思います。花の消費拡大が叫ばれていますが,そのためには,工業が次から次にイノーベンションを推し進め,新しい需要を喚起しているように,趣味の園芸においてもイノーベーションが不可欠と言えます。パソコンの世界でも,性能が著しく向上し,誰でも使いやすいアプリケーションの開発普及により多くの人が簡単にパソコンに取り組めるようになり,そのことで多くの人がさらに技術革新を推し進めています。花の消費拡大推進にも新技術はぜひとも必要です。
 あわせて,新技術だけでなく,経験を積まないとわかりにくい点を痒いところに手が届くように説明しました。花が咲かない,夏越しや冬越しがうまくできない,台風による花木や草花の被害が大きい,除草が大変,病害虫の防ぎ方がわからない,下葉や株が枯れる,庭の水やりが大変,施肥のタイミングがわからないなど,初心者がわからないことをわかりやすく説明しました。
 その他,1株の花の数や大きさを目標としたアジサイの剪定・整枝や,ペチュニアを長くさかせる暫時剪定など今までにない栽培技術や情報を多く紹介しています。なお,本書で紹介している花は全て自宅で栽培したことのある花です。写真については,自宅で撮ったもの以外については,撮影場所が記載してあります。



3 私がガーデニングを始めた動機

◆庭づくりの意義を人生設計の中で考える

 ★人生を楽しく過ごすには 
 生きていれば,必ず悩みや苦しみ,ストレスがついて回りますが,楽しみの数が多ければそれらに打ちのめされることはありません。いつどこで誰に教わったのか自分でもわかりませんが,人生を気楽に生きる知恵として,いつのまにか「人生は自分が楽しむための時間である」と思うようになりました。同時に,せっかく与えられた一度しかない貴重な人生が,どうすれば楽しくなるか考えるようにもなりました。
 その結論は仕事,家庭,趣味の三つに区分し,それぞれ具体的な目標を持ち,その目標達成のために努力するということでした。目標がやる気を起し,やる気を起してがんばれば生きがいが生まれ,生きがいがあれば人生は楽しくなる,と考えます。
 さて,私には現在多くの楽しみがありますが,私の趣味及び家庭の目標のひとつは,四季折々に美しい花々が咲き乱れる手造りの,家族が憩える庭の完成,今風に言えばガーデニングです。花づくりで自分がそこに住んでいるのが楽しいと思えるような環境を積極的に作ってみてはどうでしょうか。
        (写真1)
南側メイン花壇,フジ,クリサンセマムノースポール 我が家の庭の中心部は,藤(現在はノーゼンカズラ)棚を取り囲む円形のロータリー花壇(写真1)になっています。ムード音楽を流して美しい花々を眺め,かわいい妻と,フーテンの寅さん風に言うとレモンチィーを飲みながら,これまでのことやこれからのことを談笑しつつ人生を送りたい,と時々冗談風に話をすることがあります。すると聞いている人は思わず笑って,「いいですね。うらやましい」と言ってくれます。
 ★長い老後を楽しく過ごす
 私は家を新築する時に,できるだけ庭を広く取ることにこだわり,そのために土地は単価の安い郊外に求め,二階建てにました。というのも,やがて訪れる定年後の長い人生を,趣味の花づくりを主にして過ごそうと考えたからです。終わりよければ全てよし。過去にどんなにつらいことがあっても,晩年を健やかに,楽しく過ごせれば人生は幸せになれる,と思います。花づくりは次の理由から,老後の趣味としても特にふさわしい,と考えます。
 老後の趣味としては,健康でボケないことが重要です。この要素も考慮して,
  
①毎日できる(楽しめる)
  ②体を動かす
  ③頭を使う
  ④感動を味わえる
  ⑤経費が安い

 この五つの条件が備わっていればとても望ましい,と考えます。なお,スイカ,トウモロコシ,エダマメなどの野菜づくりもあわせてすれば食べる楽しみも増えてよりいっそうよい,と思います。
 ただし,他人に見せるために花づくりをするのはやめた方がよいでしょう。自分が好きな花を自分が好きなように育て,他人がどう思おうと自分がきれい,楽しいと考える花づくりをすることが長続きするポイントです。他人に見せるための花づくりをしていると,疲れてしまいます。

 ★毎日を楽しく
 「好きなことを毎日やれる。毎日することがある。」それはすばらしいことです。私の朝晩の楽しみは,庭に出て花や木の成長を眺めることです。ガーデニングには,種を播き,苗を育て,やがて色とりどりの花が咲くのを想像しながら待つ楽しみがあります。
 花が咲いた時だけでなく,苗が育つ過程を日々観察すること自体が楽しみです。観察によって,今まで気づかなかった新しい事実を発見した時はとてもうれしくなります。観察した結果をパソコンに記録し,データが少しずつ増えてきているのもちょっとした楽しみです。
 また,花づくりはもちろんですが,どこにもない,自分がデザインした庭を「こつこつと手作りで」仕上げていくことほどおもしろいことはありません。一挙に完成させるのではなく,庭を眺めながら少しずつアイディアを出し,改良を重ね徐々に作り上げていくその過程が何よりも楽しいのです。
 それから,花の種類はたくさんあって,自分が育てたことのない品種や品目を新たに栽培する楽しみがあります。
 毎年,種まきの時期である秋と春には,一枚のキャンバスに絵を描く時のように,今度はどんな花を,どんな色で彩ろうかとあれこれと思いを巡らすと,自然に楽しくなってきます。
 庭の植栽計画を練るにあたって,本や雑誌を読んだり,通りすがりの公園や道路沿いの花壇,他人の家の庭をかいま見たりするなど情報収集する楽しみも出てきます。NHKの名アナウンサーであった鈴木健二氏が,かつて番組「クイズおもしろゼミナール」の冒頭で,毎回「知るは楽しみなり」と話されていましたが,まさにそのとおりだ,と思います。
 令和2年3月末に退職しましたが,現在自分が想定したとおり趣味の花づくりをしながら,老後の人生を楽しく過ごしています。

 ★「わかりやすい草花栽培の本」を書く
 超スローペースですが,書くことも私の秘かな楽しみになっています。以前,子供たちが高校生になったときに贈ろうと決めていた「子供たちへの引継ぎ書」(B5版,横書き220ページ)を7年遅れで完成させました。これは,子供たちが生まれた時から,親は子に何を残せるか,何をしてやれるかを考えていたのですが,財産は残せそうにないので,自分の精神的財産を残すことにしたわけです。
 内容は,読書や書くことの意義,考える力を伸ばす,楽しく仕事をする方法,生きがいや幸せ,結婚,老後,健康,人間関係の悩みの解決方法などについて,自分自身が本や学校,職場などで学んだことに,自分なりの意見を織り交ぜながらまとめたものです。本来なら,子供に直に話してやればよいのでしょうが,長々とこうした話しをする機会はなかなかないし,照れくさいことなどもあって,書いてあることなら素直な気持ちでそのうち読んでくれるのではないか,と期待して書きました。
 これを書いているうちに,小学校以来書くことはとてもいやだったのですが,書くことがいつの間にか楽しみのひとつになってしまいました。現在の書くことの楽しみは,我が家で育ててきた花々の栽培や観察結果の記録をもとに,「わかりやすい草花栽培の本」を書くことです。
 自分で花を栽培すると,わからないことがあるので関係する本をよく読みます。ところが,読んでいて何となく物足りない,かゆいところに手が届いていない,と感じさせられることがしばしばあります。
 それで,いっそのこと自分自身が納得できる本を書こうと考えるようになりました。自分が実際に栽培して気がついたことで,既存の本には書かれていないことをできるだけ盛り込み,誰にでもわかりやすい草花栽培の本を書いてみたい,と思った次第です。
 これまでにかなり記録量が増えてきたので,70歳を迎える頃までには,その本を完成させたい,と願っていました。色々ありましたが,情報の伝達速度を第一に考え,このホームページを開設することにしました。そうすれば,多くの人と交流するチャンスができるのでは,と期待しています。これからもできるだけ色々なことに興味や関心を持つようにし,多くの楽しみがもてるようにしたい,と思います。人生という名の舞台の主人公は自分自身であり,その舞台を楽しくなるように演出できるのは自分自身でしかありません。
 なお,底穴のないコーヒーカップなどのおしゃれな容器で育てるミニ観葉や,コチョウランなどの洋ランが誰でも簡単に栽培できる技術については,2017年3月に農山漁村文化協会から「鹿沼土だけで楽しむ洋ラン・ミニ観葉」のタイトルで出版させていただきました。
 

4 無理せず,長く続けられるガーデニングの楽しみ方


◆長続きのする庭づくりを実現するためには

 ★自分で設計し,こつこつ仕上げる 
 就職して間もない頃,義理の叔父が庭の花をみながら「家庭というのは,家プラス庭なんだよ・・・」と話をしていたのがとても印象的で,その言葉がずっと心に焼きついていました。やがて自分が家を建てる時に,先に述べたように老後を楽しむためというのもありましたが,その言葉が引き金となって,「家族が憩える庭」を造ろうと考えました。
 専門業者にお願いしてでき上がった庭は,確かにそれなりの素晴らしさがあります。しかし,自分で考えに考え抜いて設計し,試行錯誤しながら自分の手で,長い時間をかけてこつこつと仕上げた手造りの庭には,専門的には多々欠点があっても,言葉では表せない愛着があります。花づくりはもちろんですが,庭をどのような花の種類や色で埋め尽くそうかと,構想を練ることほど楽しいことはありません。少しずつ完成していく過程の楽しみは何とも言い難いものです。それに,自分で設計,施工をすると経費はとても削減できます。

 ★家造りに着工する前から考えておきたいこと
 庭の設計については,家造りに着工するかなり前から,本や実際に色々な庭を見て,どのような庭にしたいか,よく考えておく必要があります。特に大事な点は,労力に応じた管理が負担にならない,作業がしやすい庭づくりをすることです。
 いくら好きな趣味であっても,それにかかわる労力が,本人あるいは家族の負担になるようでは長続きしません。また,若い時にはできることも,高齢になるとできなくなります。年齢とともに体力が衰えていくので,体力に応じた管理ができるように庭を変えていくことを考える必要があります。
 ですから,水かけ,除草,種まき,植え付け,剪定などの管理ができるだけ省力的に済ませられるような庭のデザイン,品目の選定,管理方法を心がけます。
 草花だけだと育苗や植え付けなど管理が多くなります。育苗の手間がなければ,宿根草や球根類,花木やコニファー,ツタ類,場合によっては鉢物やプランター,石やレンガ,トレリスなどを上手に組み合わせた変化に富む植栽にするとよいでしょう。
 プランター・鉢については,数が多いと,特に夏場の水やりが大変です。また,しばらく留守をする時や,台風襲来時の管理をしっかりと考えておく必要があります。庭や花壇の面積,プランター・鉢の数などを,自分で無理せずに管理できる適正な規模にする必要があります。
 花壇の大きさは,植え付け,除草などの作業が手を伸ばせばできる範囲内にします。大きな花壇には,必ず通路を設けるようにします。
 最も安上がりで簡単にできるのが,レンガ花壇です。後で変更ができるようにセメントづけはしません。レンガを並べただけの花壇ですが,自分でデザインを考え,仕上げるので,その工程が楽しくなります。
 敷地の形状や面積を考慮して,花壇のデザインを決めます。とりあえず,レンガを思いつくまま並べてみるのもよいのですが,方眼紙に敷地の図面を書き,そこにレンガのラインをいくつか描いてみます。そうすると,自分が気に入ったデザインが案外スムーズに描けます。
 草花の株間は,25㌢程度にすることが多いので,方眼紙の1㌢を25㌢として図面を作成すると,植え付ける苗の数も把握することができ便利です。
 それでは,コスト削減,省力化を考えた自宅の庭の具体的な栽培品目や栽培方法を紹介します。

◆花壇の作り方を工夫し,経費や労力を少なくして,     無理せず長くガーデニングを楽しむ方法

 ★手を伸ばせば,耕うん,植え付け,除草などがしやすい花壇を作る
 自宅の花壇は,全てこの考え方に基づいて作っています。            

 ★レンガや石を並べるだけの花壇にする
 セメントづけをすると,後で変更する場合,かなり手間がかかります。

 ★少ない苗でも,花がたくさんあるように見える花壇をつくる(写真2)

                (写真2)
       二階から見た南側メイン花壇
  
      (写真3)
南側メイン花壇の百日草開花始め●事例 南側花壇
 中央のイスにすわると,花がたくさんあるように思われます。写真3は,クリサンセマムノースポールの後作の矮性(わい性)のジニア(ヒャクニチソウ)です。
 中央の棚には,当初フジを植えていましたが,太くて固い根が周りの丸花壇に食い込むようになったので,現在は,根の柔らかいノウゼンカズラ(写真4)に変わっています。この花は,年2回(6月とお盆前の頃)咲きます。ポール仕立てであと2株植えています(写真5)が,オレンジ色の花が咲き乱れると,まるで天国にいるような気分になります。
          (写真4)
花々が咲き誇る初夏の南側メイン花壇  写真4の花壇には,44個(25㌢
株間)の苗を植えられますが,仮
に購入した苗が100円であっても
,年2作(1作目は5~11月まで。2作目は12~4月まで)で年額8,800円(月額では約740円)です。
 目下,3号鉢の購入苗であれば成長が速いので,株間をもっと広げて(25㌢から40㌢),28個の苗にしてもよいと考えています。そうすると,苗数が36%削減されるので,年2作では,年額5600円(月額では470円)になり,経費がかなり削減されます。ちなみに,矮性大輪ジニアと矮性分枝性ヒマワリは,セル育苗した自家苗です。分枝性ヒマワリは開花期間が長く,1本の苗から花が多数楽しめるのが特徴です。
 
(写真1の材料など)  5連のブロックをつなげて作成
  ◎5連のレンガ(縦43×横10×高さ19㎝):合計60個
   内訳:外側のライン28個,内側のライン24個,
     外側と内側をつなぐレンガ8個  
   大きさ:外径497㌢,内径:385㌢,土が入る部分:56×36㌢  
  ◎芝生のレンガ囲み:レンガ110個(縦29×横26個)
   大きさ:縦609×横546㌢(レンガの大きさ:10×21×6㌢)
  ◎ノウゼンカズラ(フジを植え替え)の棚(写真4)
   大きさ:縦100×横200×高さ(地上部)185㌢ 
*倒伏防止のため,支柱の基部はブロックの穴に入れ,セメントを流し込み固め,地中に埋め込んでいます。写真4,5の支柱(直径3㌢,長さ2~3㍍)も同様です。

     (写真5)           

東側花壇,ノウゼンカズラやアジサイ 6月,雨の合間に覗く青空を背景に,オレンジ色ノーゼンカズラの花がさわやか同じ頃に咲く咲くアジサイのブルーにも目を奪われます。












◆苗数の削減と苗が大きくなるまで,花壇の観賞価値を高める方法

     (写真6)
東側円筒花壇,ビオラ 苗が大きくなるまで,周辺に開花中の他の草花などを植え,観賞価値を高めます。
 写真6は直径88㌢,高さ43㌢の円筒花壇(写真9,33参照)で,パンジー苗が9株植わっていました。パンジーの開花が終わってから,小輪系のペチュニアビスタミニ・ピンクスター(3号鉢,購入苗)を植えたいのですが,そうすると植え付け時期とその後の生育が遅れてしまうので,4月26日に中心の苗を掘り上げて,植えました。その後,5月10日に周りのパンジーを片付け,別の場所(露地)で冬越しさせていた多肉植物(秀麗)とネオレゲリア・ファイヤーボールを植えました。
    (写真7)
東側円筒花壇,ペチュニアが大きくなるまでの花壇 写真7は,5月29日,写真8は7月18日の状況です。この後,秀麗とネオレゲリアは他の場所に移植しました。
 ネオレゲリアは,樹木に着生するパイナップル科の植物で,乾燥には非常に強く,根はあまり出ません。茎の先端の筒状になった部分にためた水で生きていきます。原産地は南アメリカの熱帯から亜熱帯地域で,暑さには強いです。霜が当たらない場所であれば,冬越しできます。多肉植物同様,根のな
     (写真8)
東側円筒花壇,ペチュニアがかなり大きくなるい茎を地面に挿すだけでだいじょうぶです。秀麗は強い霜が降りなければ,露地でも冬越し可能です。このような植え方をすれば,本来9株の苗を植えるところを,購入株は1株ですみ,経費削減ができ,花壇の変化も楽しめます。写真9は,3月26日にピンクパンサー(通称ツルコザクラ)の開花終了後,同上花壇に中央にペチュニア(2月24日購入した3号ポット苗を翌日7号鉢に鉢上げ,4月1日に植栽),周辺に矮性分枝性のヒマワリの苗(品種:ミラクルビーム,3月24日播種,4月3植栽)を植え,メランポジュームは3号ポット苗を5号ポットに鉢上げして,鉢ごと植えました。
      (写真9)
東側円筒花壇,ペチュニアとメランポジューム ペチュニアが大きくなるまでには,別の場所でパンジーなどの草花の開花が終わるので,メランポジュームはそこに移植します。





     (写真10)
東側丸花壇,ペチュニアと多肉植物など 写真10は,レンガ(直径1㍍,レンガ14個)を埋め込んだだけの丸花壇ですが,中央にペチュニアビスタミニ・ブルースター,周辺に多肉植物とヤブランを植えています。なお,ヤブランは鉢のまま植え込んでいます。


 
        (写真11)
東側春花壇,白妙ギクやカリフォルニアポピー 4月9日カリフォルニアポピー開花終了後(写真11),4月11日に同上の花壇中央にカリブラコアを植えました(写真12)。同日に,花が咲くまでに周辺にアネモネ(12月31日に球根をポリポットに植え付け,1月24日萌芽始め,萌芽した苗を2月10日鉢上げ)の開花株とヤブランを鉢ごと埋め込み,矮性分枝性のヒマワリ(品種:イオス,3月24日に播種,3月28日に発芽)の苗を等間隔に植えました。ヒマワリが大きくなるまでにはアネモネの開花は終わるので,終わり次第掘り上げます。
 ヤブランもヒマワリの生育状況を見てじゃまになるようでしたら掘り上げます。ヒマワリが開花する頃までには,カリブラコアはかなり広がり,開花していると思われますが,4月27日から少し咲き始めました。
     (写真12)
東側丸花壇,アネモネ他




 


 
   (写真13)            (写真14)
門扉前花壇,ビオラとペチュニア西側丸花壇,ビオラ 





 写真13は,外玄関門両サイドの花壇です。3月26日にピンクパンサーが終わった後,花壇中央に鉢植えで越冬して3月から開花していた株を中央に植え,その前後に3月31日にミニトマト(写真14)を植え込んだために引き抜いたビオラを植えました。ビオラの開花終了を待っていると,ミニトマトの植え付け,収穫が遅れ,収量が少なくなってしまいます。ちなみに,ミニトマトは霜が降りなくなったら,できるだけ早く植え,脇芽を欠かないで,レンガに沿って株のまわりに支柱を8本立てて,それに枝を誘引すると1本の苗からたくさんの実を収穫できます(写真15)。
 
        (写真15)          (写真16)
     ビオラ後作のミニトマト  東側花壇,白妙ギクやペチュニア

 写真16は,東側玄関前花壇の4月1日に植え込んだペチュニア(2月24日購入した3号ポット苗を翌日7号鉢に鉢上げ。花壇に植えるまでに,早く大きくするともに,その間鉢で楽しむ),アゲラタム(3月31日に購入した3号鉢の苗)です。アゲラタムは4.5号鉢に鉢上げした苗を鉢ごと植えています。アゲラタムは,ペチュニアが大きくなってきたら,別の場所に植え替えるか,鉢で育てます。写真17は,写真9,写真11,写真16を同時に写したものです。
        (写真17)            (写真18)
     東側春花壇  東側春花壇植え付け準備

        (写真19)            (写真20)
     東側夏花壇の植え付け準備  南側花壇矮性ヒマワリ生育初期

 写真18(写真17の手前)は,ビオラが咲き終わり,次の植栽準備前の状況を4月23日に撮影したものです。写真19は,写真17の奥です。2月24日購入した3号ポット苗を翌日7号鉢などに鉢上げしたペチュニア,昨年に鉢上げして越冬させた宿根サルビア,キャットテイルを植栽しました。白妙ギクは徒長していたので切り戻し,一部の株は株間調整のため移植しました。
 写真20の南側丸花壇(写真1と同様の花壇)にはピンクパンサーが開花終了後,4月7日に4つに分かれたロータリー花壇のそれぞれの花壇には,両サイドに紫系宿根サルビアの挿し芽苗,内側のレンガ沿いにヒマワリ(品種:矮性で分枝性のミラクルビーム,株間㌢)のセル苗,サルビアから等間隔にペチュニア(小輪這性品種)の挿し芽苗(摘心して挿し芽,3本まとめて植栽,4月24日から開花),花壇の中央にそれらの花が咲くまで開花株の花(購入した3号鉢のミムラス,越冬させた花コショウ,オステオスペルマムとダールベルグデージー)を植えました。
 このように,苗が大きくなるまで,多肉植物,ヤブラン,白妙ギク,冬越し苗や挿し芽・株分けで増殖が簡単な自家苗をある程度持っていれば,とても便利です。

◆ゴロタ石,コニファー,花木などを利用して苗数を少なくする
        (写真21)              (写真22)
  東側玄関横春花壇  東側玄関横春花壇

 ●事例 東側玄関横の花壇:縦1.2×横2.5㍍(写真21,22)
  ◎材料など:レンガ:11.5個 縦4個,柵:長さ2.5㍍×高さ40㌢
 全体を植物で埋め尽くすと,苗の数がたくさん必要となります。全体の3分の2は,ゴロタ石で埋め,苗の数を少なくし,管理をしやすくしました。ゴロタ石は,コケがつきにくいのでお勧めです。這性(はいせい,横に伸びる性質)コニファー(写真22右下)も,伸びが遅く管理がしやすいことと,全体の苗の数を少なくするために植えました。
 花壇奥の中心に植え付けたギョリュウバイは,大きくなり過ぎないように5号鉢のまま埋め込んであります。根が広がって,他の草花が植えにくくなるのも防げます。ギョリュウバイ(詳細は第7章を参照のこと)は,11月~4月までと開花期が長いのが特徴です。
 また,大鉢(直径27㌢,高さ33㌢,写真22左上)につる性の葉がカラフルな黄金カズラ植えています。伸びが速いので,早めに切り戻します。

◆管理が楽な花壇,植物に変える
 ●事例 北側花壇             
        (写真23)               (写真24)
   北側花壇,アジサイやオリエンタルユリなど  北側花壇,ペチュニアや百日草,多肉植物
 以前はアジサイを中心に,バックにカラー,オリエンタルユリ,手前に草花を地面が見えないほどいっぱい配置していました(写真23)。四季折々に咲く,これらの花はとても素敵だったのですが,新しいデザインへの挑戦,気分一新,省力的で誰でも取り組みやすい花壇の設計を考えて,大胆に変更してみました(写真24)。
 1.58×4.65㍍の敷地に,キット4個を組み合わせてできる円形花壇(直径70×高さ20㌢)を3つと,レンガ8個を組み合わせた四角花壇(縦48 ㌢×横48㌢)2つを横長に交互に配置しました。四角花壇は,手前から見るとひし形になります。円形花壇ひとつには,パンジーなら7本の苗が植栽できます。四角花壇には多肉植物を植えました。
         (写真25)           (写真26)
      北側花壇,ベゴニア  北側花壇,マレーシアシャクナゲ
 なお,通路には小石を敷きました。これで,管理がとてもしやすくなりました。令和1~2年には,さらに省力化と苗の数を減らすため,丸花壇には手前からマレーシアシャクナゲ(オレンジ系),アジサイ(赤系),シコンノボタン(紫系)を,四角花壇には,手前からベゴニアビッグ(赤),ベゴニアセンパフローレンス(写真25,ピンク)をそれぞれ1株ずつ植えました。
 マレーシアシャクナゲ(写真26)は,熱帯雨林の高冷地が原産地ですが,購入店の情報では霜が降りない場所では冬越しは可能だと思われるとのことでした。2月26日に購入しましたが,3月8日から咲き始め,4月17日までは十分観賞価値がありました。開花が終わった枝は,4月上旬から発蕾し,6月上旬から再び咲き始めました。その後7月中旬には,伸びた新しい枝の先端にも蕾が見え始めました。今後の成長が楽しみでしたが,高温乾燥期に少しずつ枯れ始め,8月には完全に枯れてしまいました。
 掘り上げてみると,新根が全く伸びていませんでした。ツツジは根鉢をくずして植えないと新しい土には馴染まず,根が伸びない性質があります。シャクナゲはツツジ科であることを全く考えずに植えてしまったことが失敗の原因だったと思われます。以前高さ1㍍程度のツツジが2年経ってもほとんど成長しないので,掘り起こしてみても植えた時の根鉢のままでした。ツツジは酸性を特に好むので,苦土石灰などのアルカリ性資材は施さず,根鉢をある程度くずし,根鉢の周辺に,根鉢の用土と同じ種類の用土を入れて育てると失敗しないと思います。

◆増殖が簡単で,一度購入するとあとは苗代が不要な多肉植物を植える
 ●事例 東側の玄関横,東側軒下の多肉植物花壇
        (写真27)                (写真28)
   東側玄関横軒下の多肉植物やサボテン  東側露地の多肉植物

 多肉植物(詳細は第4章参照のこと)は,わずかなスペースでも十分楽しめます。石や人形を配置すると,楽しくなります。
 いったん植えると,後は挿し芽や株分けで増やせるので,苗を再度購入しなくてすみます。写真27は60×150㌢,写真28は40×60㌢のわずかな面積です。写真27は玄関横の軒下ですが,風雨が強いときには雨で濡れるので,水やりはしたことはありません。写真28は,門の内側で全くの露地ですので,水やりの必要がありません。多肉植物は土壌の乾燥に強いので,これまで雨任せで水やりをしたことは一度もありません。別の場所(露地)でも長年栽培していますが,排水さえよければ枯れることはありませんでした。
 秀麗,乙女心など茎が徒長する品目は,年1回植え替える必要がありますが,茎を適当な長さに切って,土に挿すだけでいつの間にか発根します。水をかける必要はありません。

◆庭が広い場合には,特に雑草対策を考えて花壇をつくる
      (写真29)
南側駐車場まわり花壇 庭が広いと,夏の暑い日の草取りは大変です。通路,植物を植えない場所には,砂利あるいは石板を敷き詰め,草取りの負担を減らします。殺草(除草)シートを張ってから,砂利を敷くと,除草効果はさらに高まります。ただし,長い間には雨で花壇の土が流れ込んだりして,いつの間にか雑草が生えてきます。できるだけ手取りをしますが,時間のない方はハンドスプレー(百均のものでも可,ゴム手袋使用)を使用した除草剤散布がとても有効です。
 なお,砂利は新築時に,外構工事を依頼した業者からまとめて購入すると,安くなります。庭の形がほぼでき上がってから,砂利を大量に入れるとなると,置く場所がなくなるので,庭を造る前に,片隅に置いてもらいます。ホームセンターなどでは,20㌔の袋入りを購入できます。
 写真1,29の通路の幅は35㌢で,降雨時は排水路になるよう設計しています。花壇をつくる前に,建物の近くにある排水溝に雨水が流れてくるよう,目視ですが,わずかな傾斜がつくように土を動かしました。
 ●事例 南側,駐車場を取り巻く全長22㍍ハツユキカズラ(初雪カズラ)の花壇
   植え込み幅:60㌢×総長17㍍,花壇の縁取り,ジャリを敷いた通路片側のしきりとし
  て,83個のレンガを使用
 庭が広かったり,管理する時間的な余裕がなかったりする場合には,カバープランツ(雨による土壌浸食防止や,雑草対策として,地表面を覆い尽くすために利用される植物)を上手に利用するとよいでしょう。なかでも,ハツユキカズラは,カバープランツとしての種々の条件をそなえているばかりか,斑入りの葉の観賞価値が高い,優れた園芸植物といっていいでしょう。  
 キョウチクトウ科で,テイカカズラの斑入り種です。原産地は日本です。本来は石垣や木々に這う植物ですが,排水がよければ地植えでも十分育ちます。植え付け前に,チガヤ,ススキ,ヨモギ,スギナなどの宿根性雑草を徹底的に抜き取っておく必要があります。

       (写真30)               (写真31)
 駐車場まわり花壇,初雪かずら  駐車場周り花壇,アイリス 
       (写真32)
駐車場周り花壇の初雪カズラ,カバークロップ 3年間単身赴任をしなければならなくなった時に,駐車場の周りは,コキアやニチニチソウなどの草丈の高くなる草花から,管理が楽なハツユキカズラに植え替えました(写真29,写真30)。アイリスなどの草丈の高い球根を植え込んでおくと,まだハツユキカズラの葉が楽しめない時期に毎年咲きます。(写真31)ハツユキカズラは,春には緑が強くなり,やがて白い斑入りの葉が出てきます。四月以降になると先端の葉は淡いピンクや白色となり,まるで花が咲き乱れたように華やかになります(写真32)。病害虫,土壌の乾燥,台風などにはとても強く,特別にかん水する必要はありません。          
       (写真33)
初雪カズラ,冬の紅葉過去夏場に雨が長く降らず土壌の乾燥が著しかった時に,葉色がくすみ,白い葉が茶色に少し枯れたことがあります。水やりはその時に2回しただけです。肥料は植え込んで,株が地面を覆い尽くすまでは施しますが,その後はほとんど必要ありません。
 他のつる性のものと比較して,伸びが遅く年1回刈り込む(春先の萌芽前がよい)程度でよく,管理がとても楽です。手間がかからないのもハツユキカズラの優れた特性のひとつです。
 低温に強く,冬には葉は赤く色づきますが(写真33),低温が十分でない場合には,葉は緑色のままです。肥料が多過ぎたり,光が十分当たらないと,葉は緑色で白い斑が入らず,新芽も緑のままです。挿し芽後25~30日で植え付けできます。地面に接した部分から発根するので,その部分を掘り取って増殖することもできます。挿し芽は,短い穂を挿すよりも,つるを掌にぐるぐる巻いて鉢の用土表面に置き,つるが隠れる程度用土を被せると容易に発根させることができます。用土はピートモスなどを含んだ保水性のよいものは避けます。粘土質でなければ,シラスや庭先の土でかまいません。
 つるが伸びていない場合には,先端の柔らかい部分を切り捨てて,茎の硬い部分を鉢(ポリ鉢でもよい)と土の間に挿すと発根率が高まります。いったん植え付けして株が大きくなれば,株分けにより効率的に増やせます。

◆大きくなる花木を植える場合は慎重に

 新築して庭をつくる際には,種々の木を植栽したいと思うのは当然です。しかし,庭木を植える場合は,大きくなったときのことを考えて,植える場所,樹種の選定や数量については慎重を期します。植える場所としては,倒木や落葉,将来の工事などを考慮して,地下にガス管や水道管などが埋設してある場所や,自宅の建物や隣家との境界近くは避けます。
 木が大きくなると,剪定や落葉の処理が大変になってきます。成長の早い樹種は,剪定回数や処分する枝葉が多くなるので,労力のない場合には避けた方が無難です。花壇の近くの木は,大きくなると根が花壇に侵入してきて,土を耕すのに苦労します。なお,大きくなった木を除去するのは,とても大変です。このようなことを考慮して,労力に応じた木の本数にすることが大事です。
 労力がない場合には,家のまわりに大きな垣根は作らないことです。垣根は,防風対策としての,あるいは外界からの視線から私的な生活を守る役割を果たすといったメリットがあります。しかし,一方では,風通しが悪くなる,防犯上は好ましいとは言えない面がある,と思われます。色々な考え方がありますが,自宅では省力化と,垣根のない開放感のある庭を目指しました。
 病害虫発生ができるだけ少ない樹種を植えます。特に,害虫が問題になりますが,ハマキガやシャクトリガなど蛾の幼虫や,カイガラムシなどの発生が多い樹種は避けた方が無難です。大きな木,長い生垣は農薬散布にも苦労します。冬に赤く実のなるクロガネモチなどの木はとてもまぶしく美しいのですが,ヒヨドリなどの鳥がたくさん訪れて周辺にフンが大量に落とされます。
 なお,剪定した枝を木の根元に捨てたり,埋めたりしてはいけません。木の枝は分解が遅く,白紋羽病(絹糸のような菌糸が根にまとわりつく)が発生し,木の根を枯らしてしまいます。
  ●事例 東側玄関前の花壇

       (写真34)              (写真35)
    東側花壇,ヨーロピアンゴールドとツツジ   東側花壇,コニファーと百日草  
 当初は,写真(34と35)のようにヨーロピアンゴールドなどのコニファーを植えていまし
たが,太い根が近くの花壇に侵入し,耕すのも苦労するようになったので,コニファーは取
り除いて,作りかえることにしました。ヨーロピアンゴールドは,植え付け当初は80㌢程度
でしたが,その後数年で3㍍以上の高さになりました。
        (写真36)            (写真37)
   東側春花壇  東側春花壇  
 写真37の花壇は,写真36中央のようにクリサンセマムノースポールなどの草花を植えるこ
とにしました。先述の写真10は,これと同じ花壇です。
「こつこつと手作りで」をモットーに庭造りに取り組んでいますが,写真37上部の円筒状の花壇は,庭に立体感を出すためにレンガを5段(一段に14個)積み上げた手作りの花壇です。何しろ初めてのことで一苦労はしたものの楽しく作業できました。
 ちなみに,レンガに十分水を含ませてからでないと,レンガ同士のセメントづけがうまくいかないということがわかりました。ただし,基礎の部分だけはセメントづけしていません。後で,庭のデザインを変更したくなるかもしれませんので,上記丸花壇も含め,他の花壇もレンガは並べているだけです。
        (写真38)
北側から見た東側春花壇 完成するのに午後から半日ずつ二日間,計八時間かかりました。費用はレンガが70個と,速乾性のセメント代をあわせて当時五千円程度でした。隣近所の方から「きちんとレベルがとれてないところが個性的で,素人ぽさが出てかえってよい」とおほめ(?)の言葉をいただき,照れくさいながらもうれしく思いました。
 写真37は,東側正面玄関側から見た状況です。円筒状の花壇の花は,カリフォルニアポピーです。なお,先述の写真6~8はこの花壇を上から見たものです。写真38は,北側から見た状況です。

  (材料など)

    ①円筒状花壇
     直径:88㌢×高さ:43㌢,
     レンガの個数:70個(14個×5段)
    ②外壁に沿った花壇
     レンガ個:49個
 
  ●事例 南側の花壇
      (写真39)        (写真40)         (写真41)
 南側春花壇,リビングストンデージーやキンセンカ 南側冬花壇,葉ボタンなど 南側春花壇,矮性リナリアやアコルスオウゴン
     (写真42)         (写真43)         (写真44)
 スカイロケットとネムノキ 駐車場周りと南側花壇 南側春花壇
 当初(写真39)は,とりあえずリビングストンデージーやキンセンカなどの草花を植えていました。しかし,念願の庭を手に入れたということで,とにかく色々な品目を植えてみたいと思いが強く,ネムノキ,オオデマリ,コニファー類を所狭しと植えました(写真40)。
 また,ロックガーデンへの憧れがあったのですが,偶然にも自分で動かせる手ごろな大きさの石をもらうことができたので,思いつくままに石を並べました(写真41。周囲にリナリアと宿根草のアコルス黄金を植栽しました。アコルス黄金は,セキショウの一種で,サトイモ科の常緑多年草です。霜,高温多湿,土壌の乾燥にも強く,育てやすい品目です。自宅で発生を見たことはありませんが,長年栽培すると,カイガラムシがまれに発生することがあります。
 このような花壇も植え付け当初はよかったのですが,年々大きくなって剪定量が大きくなってきました。コニファーのスカイロケットは,特に草丈が高くなるので,剪定に脚立が必要になります(写真42)。高齢になると,脚立での作業は危険が伴うので,樹高を高くしないようにする必要があります。ネムノ木(写真42)は,年に数回咲き,花も特徴がありきれいですが,伸びが速く,剪定量,ゴミとしての搬出量がかなり多くなります。樹木を植える場合は,場所の広さ,労力などに応じた適正な品目を事前に慎重に考える必要があります。
 こうしたことから,コニファーは一部残して,ネムノキ,オオデマリは,老後を考慮して,残念ながら取り除きました。
 その後の花壇は,写真43のとおりです。石で取り囲まれた中央には,這性のコバノランタナ(白,第7章を参照のこと)を植えました。その周辺に,サンパチェンス,リネアリス,ペチュニアビスタミニ・ブルースター,花コショウ,パキスタキス,軽い霜にも耐える姫ヒマワリ,宿根サルビア(マナウス),ツルバキア(ユリ科の球根植物,ニラの仲間で,触るとニラのニオイがする。紫色の花が咲く),ユリオプスデージー,コルディリネ・レッドスター(赤ドラセナの一種),アサギリソウ,低木性のツツジ,ナルコユリなどを)植えました。一度植えた後は,花コショウとパキスタキスは越冬株で,その他は挿し芽苗で冬越しさせて,種苗費の削減を図りました。
 写真44は,写真39の右側の部分で,以前は全て草花を植えていましたが,花壇キットとレンガの花壇に変更しました。現在は(令和3年5月),3つの花壇に手前からペチュニアのピンク色大,同じくピンク色小,紫色小を1株ずつ植えています。ペチュニアは,軽い霜程度なら越冬できます。
  ●
事例 南側,写真1サークル花壇内,その奥のバラ  
       (写真45)
南側の露地のバラ バラ(栽培の詳細は,第7章参照のこと)は憧れの花で,長い間栽培していましたが,剪定後のトゲのある茎の処分,害虫防除を考えて,やめました。奥がツルバラ(品種:ドルトムント)で,手前はサークル花壇内にある,フロリバンダ系の品種,ストロベリーアイスです(写真45)。その外にも小輪系のバラ4株を処分しました。
 この2品種は,病気には強いほうで,病気の防除は一度もしたことはありません。ちなみに購入時には,一応病気に強い品種の選定に努めました。極小輪のミニバラは数品種残してありますが,農薬は散布していません。ただし,害虫については,チュウレンジバチ,クチヒゲハバチ,スリップス(アザミウマ),ハナムグリが特に問題になり,薬剤散布がかかせませんでした。バラ栽培の詳細については,第7章品目別花の上手な育て方を参照下さい。

  ●事例 南側,サークル花壇の自宅建物側の花壇
    材料:一つの花壇は縦55×横145㌢,5連のレンガ(縦43×横10×高さ19㎝)を8個
       使用,計24個使用
           (写真46)            (写真47)
    南側春花壇  南側花壇,コノテガシワとヒメマサキ
     (写真48)
東側花壇,マリーゴールド 写真46の右側の5連ブロックの花壇です。同じ形のものが横並びに3つあります。当初は草花をうえていましたが,植え替えをしないで済むと思い,コノテガシアとヒメマサキを植えました(写真47)。ヒメマサキは,挿し芽が容易で,地面に直接挿して増やしました。
 その後,思ったよりコノテガシワが大きくなり,居間からの庭の景色をふさぎ始めました。ヒメマサキにハマキムシが発生するようになったこともあり,マリゴールドなどの草花に植え替えることにしました(写真48)。その後,コンパクトに管理できるギョリュウバイや,矮性ミニバラ,多肉植物を植栽しています。なお,写真46右下の草花の部分は,自宅建物に沿った幅の狭いレンガ花壇ですが,ツツジ(赤系の品種:太陽)に植え替えました。

◆経費や労力が削減できる技術,工夫を取り入れる
 自家育苗や挿し芽などの経費削減の技術や工夫を実施すると,ただ単にお金が節約できるというだけでなく,花の知識や技術が大幅に向上します。
 ★移植ゴテで軽く耕せば,苗を植え付けられるよう庭土を柔らかくする
 深耕,完熟たい肥を十分な施用により土を柔らかくします。大きな花壇ではないので,移植ゴテでも十分耕せます。今後は苗を植える部分だけを耕せばすむようにしたいと考えています。
 ★苗は,時間があればできるだけ自分で育て増やす
  ①種播きから楽しむ
   種播きや苗づくりは大変だというイメージがあるかもしれませんが,セルトレイを使

  った育苗(第2章参照)をすると,意外に簡単だということがわかります。鉢上げせず
  に直接植え付けもできるので,省力化,経費削減(鉢,鉢用土が不要になる)ができま
  す。種播きから始めると,植物の生育がよくわかり,花づくりはさらに楽しくなります
  。
  ②楽々苗作り。こぼれ種からできた苗を利用する
   次のような品目は,いったん花を咲かせると,地面にこぼれ落ちた種から翌年たくさ
  んの苗ができるので,わざわざ苗づくりをする必要がありません。
   ●夏秋花壇:トレニア,ポーチュラカ,ガザニア(タレントミックス),イソトマ,
         ホウセンカ
   ●冬春花壇:ビオラ,リナリア,クリサンセマムノースポール,紫ハナナ
         チドリソウ(ラークスパー),フロックス,ツルコザクラなど
  ③自家採取した種から苗をつくる
   F
1(雑種第1代)品種でなければ,次世代も性質が大きく変わることはありません。
  アサガオ,ヒマワリ,チドリソウ(ラークスパー),コスモスなど
  ④挿し芽(挿し木),株分けで苗を増やす 
   ほとんどの花,花木は挿し芽ができます。ただし,パテント(特許)がついた品目の
  増殖ついては,個人で楽しむだけなら問題はありませんが,他人への譲渡を目的にした
  場合は,法に触れることになるので十分な注意が必要です。
  ⑤苗を冬越しさせる
   寒さに弱い,露地で育てている品目については,9~10月に挿し芽をしてできた苗を
  鉢上げして,霜が降りる頃までに十分根を張らしておきます。株のまま冬越しさせたい
  場合には,鉢を土中に埋め込んで育てると,寒くなる前の掘り上げが簡単です。
   低温に弱い品目は,その程度によって室内,あるいは日当たりのよい霜が降りない南
  側の軒下で冬越しをさせます。
 ★水やりの量,回数を減らす
 特に夏場の水やりが問題になりますが,自宅の庭では,ほとんど雨だけで,よほど晴天が
続かない限り水やりはしていません。このことについては,第7章で詳細に述べます。
 ★農薬の使用量を減らす
 農薬は定められた使用規準内で使用すれば安全ですが,経費や労力,環境保全を考えれば
できるだけ使用回数が少なくなるようにしたほうがよいでしょう。我が家の庭では,ナメク
ジとアブラムシが大量発生した場合と,バラの害虫防除や通路の雑草防除には農薬を使用す
ることがありますが,それ以外はほとんど農薬を使用していません。
 なお,アブラムシ,スリップス,ハモグリバエ,ヨトウ類などには粒剤が散布しすいので
お勧めです。農薬をできるだけ少なくして病害虫を防ぐ方法については,第2章で詳細に説
明します。
 ★開花終了後の草花の有効利用
         (写真49)            (写真50)
     開花終了後の株をたい肥化するコンポスト  コンポストの目隠しとしてのコノテガシワ
 開花が終わった草花を離れたゴミ出し場所まで持ち出すのは,高齢になればさらに大変ですし,コンポスト(写真49:上部50×下部60×高さ60㌢)でたい肥化して土づくりに有効利用すれば,ゴミの量が減り,環境保全に少しでも貢献できます。花壇から引き抜いた株は,その場で数日放置し乾かすと,コンポストにたくさん入ります。ただし,立ち枯れ病,白絹病,菌核病などの病気による被害株は見つけ次第捨てておきます。
 上記写真の4つのコンポストの他に,ほぼ同じくらいの大型ポリゴミバケツの底をくり抜いたものを地中に埋め込んであります。これは,野菜クズなどの処理用としても活用しています。
 なお,コンポストの手前には,目隠しのためコノテガシワ(写真50,写真45のツルバラの後方)を植えました。手前は,オレンジ色のキルタンサスです。球根類で毎年3月上旬から4月上旬まで咲いてくれます。
 ★プランターや鉢土の再利用
 一度利用した土であっても,いったん発生すると防除が困難な立ち枯れ病,白絹病,菌核
病などの病気が発生していなければ次のような手順により再利用できます。
  ①簡単に取り除ける植物の茎葉,根は処分する。
  ②一か所にまとめておき,雨に打たせて余分な肥料分を取り除く。同時に,取り除けな
  かった細かい根などを,時間をかけて微生物に分解させる。
  ③温度の高い時期に,ビニール袋に土を入れて,口を閉じる。
  ④直射日光の当たる場所に5日以上(長いほどよい)放置しておく。
  ⑤ビニール袋から取り出した土に,堆肥や腐葉土を2~4割程度混ぜて再利用する。 
   ただし我が家では,もっと簡単な方法でやっています。まず,植えてあった株を引き
  抜いてから,上述のコノテガシワで目隠しされた場所に,使用した土を捨てます。
   次に足で形を崩し,その上に引き抜いた株をかぶせ,その状態で放置し風雨にさらし
  ておきます。しばらくして忘れた頃には,ミミズや微生物により普通の庭土と変わらな
  いような状態になっています。
   この方法で病気が発生したり,植物の生育に問題があったりすれば,上述の手順でし
  っかりと処理します。
 ★プランターや鉢の用土を自家製とする
 近年は消毒ずみで,肥料成分や酸度(pH:ペーハー)が適度に調整され,かつ排水や保水性に優れた申し分のない,品目ごとに適した用土が販売されています。
 しかし,購入用土でなければ植物が育たないという訳ではありません。品目によっては,結構庭土で生育に支障がないこともあります。庭土があれば,とりあえず肥料だけを混ぜて育てて見ることです。うまくいかなければ,堆肥や腐葉土,モミガラクン炭を混ぜて使ってみます。それでもうまくいかない時に,購入用土を使います。
 なお,自宅では鹿沼土とたい肥以外は,ほとんど購入したことはありません。鉢用土は,鹿沼土と庭土だけで済ませています。鉢数が少ないのに,色々な用土を購入すると置き場所を取るので,庭土がない場合は花専用の混合用土を利用するとよいでしょう。


5 自宅敷地の見取り図



       敷地面積:87坪,花壇面積:約55坪
  自宅見取り図


6 ガーデニングにかかわる管理時間


 本来いくら楽しいことであっても,それにかかわる時間が必要以上に多いと負担になってきます。それを避けるために,上述のような工夫をしてきました。
 自宅の敷地面積は87坪で,建物(2階建て:敷地面積17坪),玄関や駐車場,浄化槽,倉庫などの面積を考慮すると,栽培可能な面積(通路も含む)は約55坪(約180㎡)です。これだけの面積をよく一人で管理できますねとはよく言われますが,実際のところ大した労力は要りません。次項4の自宅敷地見取り図のとおり4パートに分けると,各部分の管理時間は次のとおりです。多めに見積もっていますが,年間の管理時間は620時間です。平均して毎日1時間半程度は,植物に関する管理作業をしていることになります。66歳で退職してからは十分時間があるのでもちろんですが,40歳で家を建てて庭をつくってからずっと花づくりに取り組んでいるので,本書で記載しているような栽培方法をすれば,普通のサラリーマンなら管理不可能な面積ではないと思います。
 最も問題になるのは,不在時の戸外の鉢物の水やりです。4~5日程度なら,育苗中のセルトレイや小さな鉢物は十分水をやってから室内の玄関に置きます。戸外の大鉢は,日陰に移動して,鉢の大きさに応じた受け皿を敷き,水を満杯にしておきます。夏の暑い時期に,実際どうなるか実験をしておくと安心して旅行などにも行けます。
 ★年間の管理時間(620時間)の内訳
  各パート(上記
5 自宅敷地の見取り図を参照のこと)の内訳は次のとおり。
 パート1 合計50時間
 ★春~夏の栽培  小計25時間
   ○播種・セル育苗(他のパート分も含む) 2時間 
   ○購入苗,地植えした株の鉢上げ     4時間
   ○前作の片づけ   1時間    ○施肥・耕うん 1時間   
   ○植え付け    1時間      ○花壇の除草  1時間
   ○水やり 5時間
    活着後は,庭はほとんど雨任せ。鉢物の水やりが主。鉢はほぼ1~2日に1回水やり
    ,1回10分        
   ○花殻摘み    最長5時間(品目によっては0時間)
    ビオラ,小輪系ペチュニア(カリブアコアなど含む),トレニア,ポーチュラカな
    どはしない。
   ○夜の見回り(他のパート分も含む)   5時間
    ナメクジ,ヨトウムシなどの害虫退治,雨天時以外毎日10分 
 ★秋~春の栽培  小計25時間
    春~夏の栽培と同様。
 パート2 合計43時間
  パート1と同様,播種・セル育苗,夜の見回りはパート1に含まれているので除外。
 パート3 合計43時間
  パート1と同様,播種・セル育苗,夜の見回りはパート1に含まれているので除外。 
 パート4 合計30時間
   ○柿(1本),柑橘(3本)の剪定,摘果 5時間
   ○レタス(6株)・ピーマン(3株)・ミニトマト(3株)
    の植え付け,ミニトマト側枝の誘引 2時間
   ○花壇の管理 小計25時間
    植栽苗数が少ないので,パート1の半分の時間になる
 その他 合計158時間
   ○砂利部分の通路などの除草 10時間
    3~12月に月1回除草剤をハンドスプレーで散布
   ○多肉植物の植え替え 5時間
    徒長するので,年1回茎を短くして挿し芽 
   ○樹木,ハツユキカズラの剪定他  25時間
    アジサイ,ミニバラ,シコンノボタン,キンモクセイ,コニファー(6本), 
    マメツゲ,キンシバイ,ナンテン,バンマツリなど
   ○芝生の管理 28時間
    芝刈り(約8㎡,6~9月に月1回草刈機で実施,1回2時間,砂利を敷いた通路
    に散った草を寄せ集めるコードリールのついた小型ブロワーがあると便利),小さ
    いうちにシラミつぶしに手取り除草(20時間)
   ○挿し芽 10時間
    ペチュニア,サルビア,ベゴニアなど
   ○室内の鉢物管理 20時間
    洋ラン,ミニ観葉,ベゴニア他鉢物の水やり,植え替え,施肥など
   ○その他 60時間
    見回りなど 1日10分,毎月5時間,1年で60時間 
 

7 自宅の庭に必要な苗数
(令和2年秋~令和3年夏までの事例)


場所    春~夏の栽培   秋~春の栽培    
 苗数 内購入苗   苗数  内購入苗  苗数 内購入苗 
 パート1  68  36  44   0  112  36
 パート2  25   6   25  16   50  22
 パート3 60  35   60  30  120  65
 パート4 30  4   30  14   60  18
  183   81  159  60  318 141

(注)苗数は,購入苗以外の自家苗を含む。自家苗は,種(購入種子も含む)から育てた苗
   ,挿し芽や株分けによる苗,過去に購入した球根などから増殖した苗。


8 自家苗の内容


 

  ◆自家採種,こぼれ種からの苗

   ペチュニア,シレネ・カロリニアナ(通称ツルコザクラで販売されていることが多い
   ),イソトマ, 矮性リナリア,ポーチュラカ,ニチニチソウ,カリフォルニアポピー
   など
 ◆購入した種子からの苗
   ヒマワリ(ミラクルビーム,イオス),ビオラ,パンジー,ジニア(プロヒュージョ
   ン,F
ドリームランドなど)など
 ◆購入した苗(球根類も含む)
   ペチュニア,カリブラコア,メランポジューム,マツバボタン,カラー(赤),アゲ
   ラタム,フクシア,アアネモネ,ラナンキュラス,プリムラ類(マラコイデス,ジュ
   リアン),マーガレット,ミムラスなど
 ◆挿し芽からの苗
   ペチュニア,宿根サルビア,ペンタス,インパチェンス類,ユーフォルビア・ダイア
   モンド,オステオスペルマム,マーガレット,白妙ギク,ハツユキカズラ,ポーチュ
   ラカ,マツバボタン,ベゴニアなど
 ◆株の持越し,株分けからの苗
   ペチュニア,宿根サルビア,ペンタス,インパチェンス類,花コショウ,オステオス
   ペルマム,ガーベラ,姫ヒマワリ,コレオプシス,ガザニア・タレントミックス, 
   矮性カンナ,キャットテイル,ペンタス,レモンマリーゴールド,ユリオプシスデー
   ジー,黄金カズラ,ヤブラン類,花キリン,カランコエ,オキシペタルム
 ◆球根などからの苗
   アマリリス,スイセン,ダリア,ハナショウブ,アヤメ,グロキシニア,アガパンサ
   ス,ツルバキア,キルタンサス,オリエンタルユリ,ナルコユリ,シャクヤク,ガー
   デニングシクラメンなど
 ◆購入した野菜苗
   サニーレタス(6株),ミニトマト(3品種3株),ピーマン(3株)


9 自宅の花木,果樹


 ◆花木
   アジサイ(6株),ビョウヤナギ,ギョリュウバイ(4株),ノウゼンカズラ(6株
   ),ガウラ,バンマツリ,キンモクセイ,アマミセイシカ,ツツジ,コバノランタナ
   ,ナンテン,マメツゲ,コニファー(コノテガシワ他5株),ヒペリカム
 ◆果樹  
   紅甘夏,サワーポメロ,日向夏,ブルーベリー(各1株)


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